【香港/中国 29日 AFP】英ロンドン在住のTommy CampbellさんのiPodは、中国最南端の海南(Hainan)島に住む一児の母の音声でいっぱいだ。直接顔を合わせたことのない2人だが、毎週3時間をともに過ごし、Tommyさんはその間、北京語の独特なトーンや発音を覚えるのに必死だ。

 海南省の省都海口(Haikou)に住むLily Huangさん(34)は、Tommyさんの北京語教師だ。法外な授業料を支払ってロンドン在住の教師から個人指導を受けたり、夜間学校に通うのではなく、Campbellさんは快適な自宅レッスンを選択した。インターネットを利用し、中国在住のHuangさんから北京語の指導を受けている。

 Huangさんはインターネットを利用した無料通話ソフト「Skype」を活用し、世界中の生徒の指導にあたる。Skypeを使用すれば、無料で世界中の人々と会話可能なほか、ウェブカメラも駆使できる。

 Skypeのサービスは2003年、2人の北欧系起業家によって開始され、2005年9月に41億ドル(約4802億円)でeBAYに買収された。現在27か国語でサービスが提供されており、利用者1億7100万人のうち30%を最大の成長市場、アジアのユーザーが占めるという。

■経済的・環境的ニーズに応える「Skypeレッスン」

 現在、世界中で北京語教師の需要が高まっているが、Huangさんは強力な技術の恩恵とインターネット接続を使用して米国、ニュージーランド、マレーシアといった国々の生徒にも指導を行うことができる。わずか5年前には、こうしたことは不可能であった。
 「多くの生徒は多忙で学校へ通う時間がないため、自宅でのレッスンを望んでいる。また自宅では、くつろいだ環境での学習が可能だ。大人数の生徒に対して教師が1人しかいないような環境では会話の機会が限られ、あまり練習にならない。(Skypeを使用したレッスンなら)、生徒は好きなだけ会話ができる」

 Huangさんの授業料は、1時間あたり約20ドル(約2300円)。受講者はオンライン銀行のPayPalを利用し、受講料を支払う。Huangさんは、「(レッスンの金額は)中国では相当の収入。それに加え、自宅で仕事ができるので、6歳の息子の世話もできる」と語る。

 実際にインターネットを利用した語学レッスンを思いついたのは、Huangさんの夫だった。Huangさんは1年前、ためらいながらも複数の海外ウェブサイトに自身の経歴を書き込み、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の「マイスペース(MySpace)」にもページを設けた。このページを、グーグル(Google)で北京語の個人教師を検索していたTommyさんが見つけ、2人は知り合うことになったという。

 なお、Skypeにはテレビ電話機能だけでなく、チャット機能やデジタルホワイトボードが備えられているため、受講者が漢字の確認をしたり、Huangさんが文字を書いたりすることも可能だ。

 写真は27日、モニターに映るLily Huangさんを見ている香港在住のユーザー。(c)AFP/Richard A. BROOKS