‘カワイイ’を武器に世界に羽ばたく東京ファッション - 神奈川
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【神奈川 31日 AFP】巻き毛にハイヒール、ミニスカートがお決まりのスタイル。派手に着飾った若い女性たちが横浜アリーナで開かれた『東京ガールズコレクション(Tokyo Girls Collection、TGC)』会場に集結した。彼女たちの合い言葉は‘カワイイ’だ。
■‘リアル’なガールズ・ファッションを発信
今回で4度目となる『東京ガールズコレクション』は、トレンドに敏感な日本の若い女性たちにとっての一大イベントだ。単なるファッションショーに留まらず、今や文化的祭典と化している。
3月半ばに開催された『 東京発 日本ファッション・ウィーク(JAPAN FASHION WEEK)』で発表されたモード寄りなファッションとは違い、『東京ガールズコレクション』では東京の街中で実際に見られる‘リアル’な若者ファッションが披露される。
■会場には日本各地から2万2000人が集結
当日、約2万2000人がショーを観るため横浜アリーナへ押しかけた。中には、この日のためだけに夜行バスなどではるばるやってきた人も。そのほとんどが20代前半だ。
ピンクの時計がショーの始まりを知らせると、会場には歓声がわき起こった。ランウェイには、ミニスカートを中心としたセクシーでキュートなコーディネートが並ぶ。ショーで発表された商品はオンラインで購入可能。ランジェリーや携帯、チューインガムなどの小物まで販売される。
■キーワードは‘カワイイ’
「こんなことを言っても仕方がないけど、モデルたちを生で見るとあまりにも可愛くて泣きたい気持ちになる!」と話すのは23歳のウチヤマ・サオリさん。彼女と同い年のサイトウ・ミエさんは、細身のジーンズに赤いブーツといった出で立ち。「同じ物を着ているのに、どうしてモデルはこんなに可愛いの?」と嘆く。
「カワイイ」と連呼していたのはサオリさんとミエさんだけではない。
「彼女は何にでも‘カワイイ’を連発するんです」と語るのは、18歳の娘を持つキドグチ・ミユキさん。親子そろって会場を訪れた。「時々、娘はこの言葉の使い方を間違えているような気がします」
■日本社会で求められる‘カワイイ’
日本では、社会のあらゆる場面で‘カワイイ’が力を持つようになってきた。商品はもちろんのこと、日本人としてのアイデンティティに至るまで、すべてに‘カワイイ’が求められている。若者に人気の渋谷や原宿などでは、ハローキティに代表される‘カワイイ’キャラクターで埋め尽くされている。
武蔵大学で社会学を教える栗田宣義教授は、この日本特有の‘カワイイ’現象を研究している。同氏によると、この言葉は‘許容’という意味合いも含んでいる。「ミニー・マウスやハローキティはまさにこの“カワイイ”を具現化したものと言えるでしょう。絶対に嫌われたり、反感を買ったりすることのないキャラクターだし、感情や意見を表さない分受け入れやすい。それに見た目が愛らしいのも一つのポイント。まさに最近のモデルと一緒ですよ」と教授。
■‘カワイイ’と日本人女性
‘カワイイ’現象はまた、先進国の中でも遅れを取っている日本のジェンダー問題が転換期を迎えつつあることを示唆しているようにも取れる。
少子化が進む日本では、30歳を過ぎても未婚の女性の数が年々増えている。「現代の日本では、性別に関係なくほとんどの人が大学を卒業する。数十年前の男性中心社会では、女性が働くことはとても大変なことだった。しかし、今の女性にとって困難なのは‘働く’ことよりも‘結婚’といった伝統的なことなのです。メディアは、結婚しない女性たちのことを‘負け組’と書き立てる」と教授。
「若い女性は社会の変化を感じ取り、それに自身を合わせようとする。‘カワイイ’は、生き残るための切り札なのです」
■人気ブランドの代表が語る東京ファッション
『東京ガールズコレクション』で新作を披露したブランドのひとつ「アルバローザ(Alba Rosa)」は、ビーチリゾート風ファッションのパイオニア的存在だ。渋谷では、日焼けした肌に「アルバローザ」を着て、髪をブロンドに染めた奇抜なメイクの少女たちを目にする。
アルバローザ・ジャパンの赤松親代表は「これは、日本におけるファッションのタブーがいかに取り払われたかを示している。それまで、日本の女性にとってファションとはステイタスを示すための一種の制服のようなものでした。しかし現代の日本女性は、ファッションを通じて自己表現をしているのです」と語る。
また、「‘カワイイ’は、それが自分にとって‘OK’な時や、‘好感’を抱いているということを意味しているの。とても個人的な尺度なので、ブランド側にとっては非常に難しいですよ」。
■海外に羽ばたく『東京ガールズコレクション』
ハローキティは、1974年に誕生して以来、世界60カ国に輸出される人気製品となった。海外でも成功を収めたハローキティと同じく‘カワイイ’は経済の分野においても新たな日本のアイデンティティーになりつつある。去年はパリで『東京ガールズコレクション』が開かれ、3月末にはそれが北京に進出。日本の‘カワイイ’ファッションを世界にアピールしてきた。
「車や電化製品やアニメのように、ファッションには世界に通用するポテンシャルが秘められている。我々はもっと自信を持つべきだと思う」と赤松氏。写真は2007年3月3日に開催された『東京ガールズコレクション』の様子。(c)AFP/TOSHIFUMI KITAMURA