【石川 25日 AFP】25日午前9時42分ごろ、能登半島沖を震源とするマグニチュード6.9の強い地震が発生し1人が死亡、162人以上が負傷した。

 死亡したのは52歳の女性で、倒れてきた庭の灯籠(とうろう)の下敷きになったとみられる。けが人のうち16人が重傷。負傷の主な要因は、落下物や揺れによってバランスを崩したこが原因とされている。家屋の倒壊や道路の地割れなども報告されている。気象庁は当初、地震の規模をマグニチュード7.1と発表していた。

 数百件の建物に被害が及び、マグニチュード5.3の強い揺れを含む余震が続く中、住民たちは緊急避難所に移動している。

 揺れが特にひどかった輪島市では、200件以上の建物が被害を受け、そのうち25件が全壊。被害を受けた建物の多くは木造で、屋根が大きく傾くなどしている。そのほかにも数百の建物で停電が発生している。

 同市で宿泊施設を営む女性は、「こんなに強い揺れは初めて経験した。地震発生時は台所に居て、下から強烈な揺れを感じたと思ったら食器棚が倒れてきた」と述べた。

 また七尾市の商工会議所に勤める職員は、「人生の中で最も恐ろしい地震だった」とし、「商店経営者などは、店内で散らかった商品を片付けることに追われている。その一方で、被害状況の調査も進められている」と続けた。

 さらに幼児を連れて避難した女性は地元のテレビ記者に、「子どもが怖がって震えが止まらない」と語った。

 気象庁は地震発生から1分後、本震が発生する前の初期微動のデータをもとに新システムを利用して、能登半島沿岸に津波注意報を発令していたが、津波の規模が小さかったため2時間後に解除した。

 地震によって地滑りが発生したり、火力発電所は自動停止した。同地域には原子力発電所もあるが、問題はなかったと報告されている。

 写真は25日、輪島市の仮設避難所で地震に関する新聞の号外を読む男性と、それを眺める子ども。(c)AFP/KAZUHIRO NOGI