【カブール/アフガニスタン 24日 AFP】北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty Organization、NATO)主体の国際治安支援部隊(International Security Assistance Force、%%ISAF)が22日夜、民間人の少年1人を射殺したことを認めた。死亡したのはZaryalaiさん(12)。国内では国際部隊が関連する民間人の死亡が相次いでおり、新たな事例が付け加えられる形となった。翌23日には息子を亡くして取り乱す父親が、死亡した少年の埋葬を行った。

■食い違う証言

 ISAFは射殺の理由について「自己防衛のため」と説明している。民間人のトラックが口頭による警告を無視して、故障した装甲車の周囲に巡らされた警戒線に近づいたため発砲したという。

 内務省はISAFによる少年の殺害を確認し、次のように語っている。「少年を乗せた車は明らかに部隊を追い越そうとしていたか、おそらく部隊に近づき過ぎたのだろう」

 だが、死亡した少年の父親、Zemaraiさんは追い越しについて否定する。銃撃を受けた際、Zemaraiさんは家族を訪問した帰りで、親族7人を乗せた車を運転していた。Zemaraiさんによれば、一族を乗せた車は部隊から数百メートル離れた場所を走行しており、照準を合わせる前に行われるはずの威嚇射撃にも気がつかなかったという。

 「突然われわれの車をめがけて発砲してきた」とZemaraiさんは怒りをあらわにする。最初の3発は車体に当たり、4発目が12歳の息子の側頭部に命中した」若くして命を落としたZaryalaiさんの葬儀に訪れた参列者の泣き声が響く中、Zemaraiさんは声をつまらせて銃撃時の様子を語った。

 撃たれた少年がまったく声を上げなかったため、父親は車を止めるまで息子が死亡していることに気がつかなかったという。

 事件が発生したのは首都カブール(Kabul)から伸びる東側の道路で、外国部隊が頻繁に使用するために市内で最も多くの自爆テロが発生している地域だ。

 同様の事件によって多数の民間人が犠牲になった後、自爆テロを警戒する部隊はメディアや自動車に貼付けた警告を使用して、一般の自動車向けに「軍の車に近づかないように」との呼びかけを行っていた。

■相次ぐ民間人の死亡

 一方で、ISAFは22日夜、同部隊の車列が東部コースト(Khost)で子どもをはね、死亡させたとの声明を発表した。ISAFによれば事故にあった子どもは道の脇から飛び出してきたという。

 カブールで発生した銃撃の後ISAFは「民間人が死傷していることについて深く遺憾の意を表する。明確な警告にもかかわらず被害者を乗せた車が停止しなかった理由は不明で、現在詳細な調査を実施している」との声明を発表した。

 2007年に入り、国際部隊によって民間人が殺害される悲惨な事件が続いているが、3月4日には東部の都市ジャララバード(Jalalabad)付近で米軍部隊が自爆テロ発生後に8人の民間人を射殺する事件が発生している。

 米軍部隊は「民間人は自爆テロと、その後の銃撃によって死亡した」と主張するが、目撃者は「全員が米軍部隊によって殺害された」と証言している。同事件に関する調査結果はまだ公表されていない。

 写真は23日、カブール市内の墓地にZaryalaiさんの遺体を運ぶ男性。(c)AFP/MASSOUD Hossaini