【キングストン/ジャマイカ 24日 AFP】警察当局は23日、クリケットのパキスタン代表チームの英国人監督、ボブ・ウールマー(Bob Woolmer)氏(58)が絞殺された事件で、「殺害犯はウールマー氏と面識があった可能性が高い」と発表した。

 ジャマイカ警察のMark Shields警察本部長はロンドンで同日、BBCラジオ局に対し「ウールマー氏のホテルの部屋には無理やり侵入した形跡がなく、同氏自身が部屋に誰かを入れたことは明らか。殺害犯がウールマー氏と知り合いだった可能性は高い。この殺害には少なくとも1人以上が関与している」と述べた。

 同警察本部長によると、警察当局はホテルの監視カメラの録画映像を調べたが、今のところ不審な人物は見つかっておらず、逮捕された容疑者もいないという。

 ウールマー氏は18日、ホテルの部屋で意識不明で発見され、病院に運ばれたが間もなく死亡。ジャマイカ警察当局は22日、ウールマー氏の死因について「絞殺」と発表し、捜査に着手していた。

 イングランド代表選手だった同氏率いるパキスタン代表は17日、ジャマイカで開催中のワールドカップで格下のアイルランドに予想外の敗北を喫したばかりだった。パキスタン代表は1992年のワールドカップの優勝チーム。

 スポーツファンの間では、同氏殺害についてマフィアがらみの八百長事件に巻き込まれたなどの憶測が飛び交っている。

 一方、南アフリカにいるウールマー氏の家族は、同氏が生前に脅迫を受けていた事実はなく、八百長事件に巻き込まれたのではないと主張。同氏が書き残したものからも殺害された理由は判明しなかったという。

 警察当局は、パキスタン代表チームの指紋とDNAサンプルの採取などを実施。これについて、Naseem Ashrafパキスタン・クリケット協会会長は「チームのメンバーが殺害容疑者として疑われているのではない。メンバー自身が脅迫されている可能性もある」と記者会見で語った。同チームはこの後、早急に本国へ戻る予定。

 この殺害事件はクリケット界に大きな衝撃を与えたが、ジャマイカのワールドカップ主催者側は、トーナメントを続行する意向を示している。

 写真は23日、パキスタンの首都イスラマバード(Islamabad)で記者会見を開くAshraf クリケット協会会長。近く会長職を辞任する予定。(c)AFP/Aamir QURESHI