【ローマ/イタリア 23日 AFP】国連(UN)食糧農業機関(Food and Agricultural Organisation、FAO)は「世界水の日(World Water Day)」にあたる22日、2025年までに全世界人口の3分の2が水不足の危機に陥る可能性を示唆した。

 イタリアのローマで同日、水不足に関するFAOの国際会議が開催され、FAOのジャック・ディウフ(Jacques Diouf)事務局長が講演した。講演によると、現在水が不足する地域には12億人が居住しており、5億人が新たに水不足の危機に直面する可能性がある。

 同事務局長は、地球温暖化に加えてかんがい用河川の汚染により、特に貧困地域で食料自給率が低下しつつある現状を懸念し、「国際社会は、より多くの人が水を手に入れられるようにするための水資源の管理についてノウハウを持っている」と、国際社会の一層の協力を呼びかけた。

 同会議に出席したウガンダのマリア・ムタガンバ(Maria Mutagamba)水資源・環境相は、アフリカには地球の水資源の9%しかなく、うち利用できる水は3.8%。しかもアフリカ大陸内でも水の分布に不均衡があると訴えた。

 さらに、アフリカ最大の湖・ビクトリア湖の水位が2005年に通常の2メートル以下にまで下がったことを明らかにし、「関係各国の協力で2006年には水位を70センチ上げることができたが、次の乾期が心配だ」と不安をもらした。

 EUのルイ・ミシェル(Louis Michel)開発・人道援助担当委員は、会議で、水不足の解消に向けたEUのこれまでの努力をアピールした。2002年以来、EUは短期的なプロジェクトに4億ユーロ(約629億円)、長期的なプロジェクトに4億7500万ユーロ(約747億円)を拠出したという。

 イタリアのPatrizia Sentinelli副外相は、水を得る権利は人間の基本的かつ法で守られた権利であり、特定個人の利害の対象になってはならないと発言した。

 写真は首都ナイロビのキベラ(Kibera)地区で21日、ポンプで水をくむ住民たち。(c)AFP/SIMON MAINA