【ロンドン/英国 14日 AFP】自国の文化と言語に誇りを持つ国として知られるフランスで、フランス語が大量の英単語に「侵略」されていたことが、フランス政府高官に対するインタビューの中で明らかになった。14日付けの英国日刊紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)が報じた。

 フランス外務省内でフランス語普及・保護政策の担当部門責任者であるXavier North氏は、同紙のインタビューに応じて、「ここ10年間で大量の英単語がフランス語の中に取り入れられるようになり、こうした動きを阻止できないでいる」と語った。この10年間にフランス語に取り入れられた英単語の数は、過去100年間の合計よりも多いという。

 North氏は「フランス人は英単語を用いる際に、フランス語風の発音で読むことさえせず、“スタンディング・オベーション”や“ストック・オプション”といった単語も、英語の発音のまま使っている」と指摘。

 さらに同氏によると、フランス語を「現代社会を表現する生産的言語」にすることを目的に、政府の専門用語委員会18団体は毎月、民間労働者らが使用する可能性のある“新語”のリストを作成しているという。

 だがNorth氏は「パニックに陥る必要はない」と主張、その根拠として「16世紀にイタリア語がフランス語に入り込んできたことがあったが、それと同じことが今、起きているだけだ。当時使われていたイタリア語の大半はその後、姿を消した」と述べている。

  写真はパリの凱旋門(Arc de Triomphe)の前に立つフランス軍軍隊(2007年1月30日撮影)。(c)AFP/THOMAS COEX