【ロンドン/英国 14日 AFP】「007」シリーズの原作者として知られる作家、イアン・フレミング(Ian Fleming)が所有した銃身の短い回転式拳銃が28日にロンドンで開催されるオークションに出品されることが13日、オークションハウス、ボナムズ(Bonhams)の発表により明らかになった。

■コルト社からの感謝の印

 このコルト・パイソン(Colt Python)の357マグナムリボルバーは1964年にコルト社(Colt Company)からプレゼントとしてフレミングに贈られたもので、専門家らは1万ポンド(約230万円)から1万5000ポンド(約340万円)の落札価格を予想している。

 証明書付きの同銃は「Fine Modern Sporting Guns and Vintage Firearms(現代の高級猟銃とビンテージ銃器)」オークションの目玉となるとボナムズはいう。

 「357マグナムは最も強力な口径の拳銃の一つです」ボナムズの猟銃部門を担当するPatrick Hawesさんの言葉である。

 ボナムズは、コルト社は同銃をフレミングに贈り、小説「007/黄金の銃を持つ男(The Man with the Golden Gun)」の殺し屋、フランシスコ・スカラマンガ(Francisco Scaramanga)が使う銃にコルト社の45 Peacemakerを登場させたことに感謝したのではないかと推測する。

 フレミングは数多くのコルト社製の銃を所有していた。

 同銃の左側面には「コルト社よりイアン・フレミングに贈られた」という文字が彫られている。

 裕福な家庭に生まれたフレミングは、英国を拠点にする通信会社、ロイター(Reuter)の記者として仕事を始め、その後、銀行で働いた。

 第2次世界大戦(WWII)の間は海軍情報部(NID)で、凄腕のスパイとして知られたジョン・ゴドフリー(John Godfrey)提督の右腕として活動した。

 終戦後、海軍はフレミングをジャマイカに派遣。ジャマイカと恋に落ちたフレミングは、同地を舞台にジェームズ・ボンド(James Bond)小説シリーズの「ゴールデンアイ(Goldeneye)」を書き上げた。

 写真は、1960年代前半、英国で撮影されたイアン・フレミング。(c)AFP/CENTRAL PRESS PHOTO