【北京/中国 11日 AFP】北京の観光スポット、紫禁城(Forbidden City)の敷地内にあるスターバックス(Starbucks)の店舗をめぐり、全国人民代表大会の議員が「伝統文化の冒涜(ぼうとく)」だとして、店舗の追放案を提出した。

 新華社通信(Xinhua)が伝えたところによると、追放案を提出したのは全人代のJiang Hongbin議員。黒竜江(Heilongjiang)省出身の同議員は、「スターバックスは即刻、紫禁城から撤退しなければならない。こうした中国伝統文化の冒涜は、今後、断じて許すべきでない。撤退しなければ、それは我が国の伝統文化に対する挑戦である」と警告しし、587年の歴史を誇る紫禁城からスターバックスを追い出す案を提出しという。

 しかし、12日間にわたり開催される全人代の1000件以上の議案中に、スターバックス追放案の記録はない。

 今回の問題は、テレビ局のキャスターを務めるRui Chenggang氏が2007年始めにスターバックス閉店を求めるキャンペーンをインターネット上で行ったのが発端。約50万人の支持を集めたことで注目を集めた。

 2000年の開店以来、紫禁城のスターバックスには、常に賛否両論が付きまとった。新華社通信によると、紫禁城には毎年700万人が訪れるという。また、紫禁城関係者によると、スターバックスが支払う「テナント料」は、紫禁城の保守管理費に充てられる。だが、Jiang議員は「市場経済においても、金には換えられないものがある。紫禁城の価値は、金銭的な尺度では計ることはできない」と主張する。

 写真は1月19日、紫禁城のスターバックス前でコーヒーを飲む旅行者。(c)AFP/Peter PARKS