【ワガドゥグ/ブルキナファソ 10日 AFP】シアバター入りの化粧品が人気を集め、商品棚には多くの関連商品が陳列されている。だがその売り上げがアフリカに住む多くの女性の生活を潤し、子どもたちに食事を与え、学校へ通わせるのに一役買っていることはあまり知られていない。

 ブルキナファソの首都ワガドゥグ(Ouagadougou)の貧民街Gounghinの道で、バケツ一杯の水とプラスチック容器に入れたシアのペーストを運んでいるEvelyne KaboleさんとHonorine Ilboudoさん。2人は6人の子どもの抱える未亡人である。

「今の仕事があるのは神様のおかげ」 とHonorineさんは語る。現在52歳の彼女はすり切れたTシャツと巻きスカートを身につけ、実際よりも少し老けて見える。
「夫を失った後は、この仕事が子どもたちを養ってくれているの」額の汗をぬぐいながらそう語ってくれた。

 2人は「Songtaab-Yalgre Association」(モシ語で「相互扶助」の意)という団体に属している。同団体は女性たちに読み書きを教えることを目的に1990年に創設され、現在ではシアバターの生産が活動の中心となっている。

 最新のデータによると会員数は1174人で、うち60人がGounghinで暮らしている。ブルキナファソの識字率はわずか25%。同団体のClarisse Nonguierma氏はこう語る。「1990年に最初のメンバーに読み書きを教えた後、このまま彼女たちを放っておくわけにはいかないと思った。彼女たちの貧困との闘いを、我々が支えなければならないと。そこで現金収入をもたらすシアバターの製造を始めた」

 シアバターの実はアボカドに似ており、ケープベルデ(Cape Verde)からチャド(Chad)にまたがる乾燥したアフリカのサヘル帯だけで成育する。その背の高い聖なる木は、人工的に栽培することはできない。
樹齢25年でようやく実を付け、実を収穫できるのは3シーズンに一度きり。だが木の寿命は200年にも及ぶ。

■化粧品会社が製品化し、人気に火がつく

 シアの実から採れるバターの用途は料理、傷薬、保湿、整髪など幅広い。ビタミンA、E、Fが豊富でしわや乾燥肌に効果があり、肌を生き返らせる。また成分のラテックスは肌の弾力性を高め、筋肉のステロイド効果や日焼け止め効果もある。L'OrealBody ShopL'Occitaneが製品化して人気に火がつき、関連商品も急激に増加した。
国連食糧農業機関(FAO)によると、主要生産国はナイジェリア、マリ、そしてブルキナファソである。シアバターは綿に次ぐブルキナファソの主要な輸出品である。

 同国のシア計画(Project Karite)財務担当Kassoum Soudre氏はAFPの取材で、「全国の女性がシアの実の収穫に携わっている。我々は彼女たちを組織化し、必要な道具や資金を供給して、生産力の改善に取り組んでいる」と語った。

 Gounghinの組合では、木からふるい落とし天日で乾燥させた実を、電気粉砕機でつぶして殻と種に分け、種だけをつぶしてペースト状に練る。2人がかりで20分間、ペーストを手でたたくと、バターができあがる。ペーストは温めた後にろ過して冷ますとバター状に固まる。また石けんやクリームにも混ぜられる。彼女たちは団体運営を自ら行い、手作業で得た利益を分配している。中間業者がいないため、国内外の企業との取引は公正に行なわれている。

 写真はワガドゥグで2日、シアの実を手にする女性。(c)AFP/ISSOUF SANOGO