【ホングサ/ラオス 10日 AFP】ラオスでゾウの個体数が急速に減少している。環境保護団体によると、ゾウの減少理由は、生息地域である原生林の減少と、人間にはおなじみの「遊ぶ時間もなく働き過ぎること」だという。

■原生林の伐採とその作業に従事するゾウたち

 古来、ラオスは「100万頭のゾウの国(現地語でLan Xang)」と呼ばれるほど多数のゾウが生息していたが、現在では全体でも2000頭を下回っている。その上、うち半分の約1000頭は、人間が国内最後の原生林を伐採する際の木材運搬作業に従事させられているという。

 環境保護団体は、事態が手遅れにならないうちにゾウの減少を食い止めようとしている。そのための手段としてエコ・ツーリズムと、ゾウを神聖視してきたラオ民族の伝統文化の再活性化に期待が集まっている。

■打開策としての「ゾウ・フェスティバル」

 ゾウの苦境を世に訴えるための試みの1つとして、フランスに拠点を置く非営利団体「ElefantAsia」が前月、近代ラオス史上初のゾウ・フェスティバルを北西部のホングサ(Hongsa)地区で開催した。

 初回にもかかわらず、フェスティバルには外国人観光客数百人を含む1万人が集まり、ゾウの人気が証明されたため、このイベントは毎年開催されることになった。

 とりわけ人気を博したのは、「Elephant of the Year(今年のゾウ、の意)」と銘打ったコンテストで、32歳のゾウSinouanが初代チャンピオンに輝いた。審査員によるとSinouanの勝因は、見事な体格や美しい装飾のほかに、優雅なしっぽの振り方もポイントになったという。審査員の1人が言うには、Sinouanのしっぽの動きは「ハスの花の形に似ていた」らしい。

 写真は、サイニャブリ(Xayabouri)州Lao provinceのホングサ地区で開催された「ElefantAsiaフェスティバル」に出場し、「今年のゾウ」に選ばれたSinouan(2007年2月18日撮影)。(c)AFP/Frank Zeller