【パリ/フランス 9日 AFP】女性が何を着たいのか、分かっているのはやはり女性だろう。少なくとも多くの人々はそう信じているはずだ。

 女性デザイナーは必然的に、女性の身体的特徴・好みを分かっていることから、何が男性のハートを射止めるのか熟知していなければならない。そんなデザイナー自身も、実際のところ服を選び、身につけているのだから。

 しかしながら、「グラマー」とは何かとなると、意外にも男性の方が頼りになるという声が上がっている。

■女性デザイナーと男性デザイナー、それぞれに良さ

 ファッション界の巨匠達によると、女性と男性とでは美的センスやその目的などを含め、服作りのアプローチが違うという。

 ファッション・ワイヤー・デイリー(Fashion Wire Daily)誌の編集長を務めるGodfrey Deeny氏は、「女性と男性とでは服作りにおける構造からして、根本的に違うのです。女性は、何が使えるのかを考えるからでしょう」と語る。

 同氏はまた、「一般的に、ジル・サンダー(Jil Sander)やミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)、そしてダナ・キャラン(Donna Karan)などのデザイナー達は、着心地の良くないような堅苦しい服は作りません。それに、よりフェミニンなものを、という一貫した考えを形にしているように思います。まあ、女性軍人なんかがランウェイに登場したら困ってしまいますけどね」と付け加える。

 実用性に加え、快適さやフェミニンさ、そして機能の良さを求める女性達のファッションに対する考え方が、男性のそれとは違った服作りのアプローチを生んでいるのかもしれない。

 「多くの男性は洗濯や掃除、それから赤ちゃんをだっこしたり、ベビーカーと一緒に階段を上ったりしませんからね。服の機能についてはあまり考えないのも自然なことでしょう。」と語るのは、デーリー・テレグラフ(The Daily Telegraph)紙のファッションエディター、ヒラリー・アレキサンダー(Hilary Alexander)氏だ。

 ギラロッシュ(Guy Laroche)のデザイナーを務めるダミヤン・イー(39)によると、男性は孤立しない程度に、「悪くない」服を選ぶ傾向が強いという。

■「グラマー」の定義、男性のほうがより深く解釈

 このことから、男性デザイナーの方が「グラマー」に関しては強いのではないかと、アレキサンダーは言う。

 Deenyも同意見で、「男性デザイナーの方が、グラマーという概念について良く分かっているような気がします。」と語る。また同氏は、「それに男性の目から見て、どのような女性がセクシーかどうかというのは、やはり男性の方が詳しいのでは。それに道行く人々が振り返り、周りの女性達が少し嫉妬するようなシチュエーションはどんな時なのか、男性は分かっていますから」と付け加えた。

 2月25日から3月4日までの8日間、フランス・パリ市内で開かれた07/08年秋冬コレクションでは、イタリア出身の男性デザイナー、ヴァレンティノ(Valentino)が注目された。40年代の映画女優風スタイルで、フェミニンなドレスの数々を披露したバレンティノは、45年間にわたってファッション界のトップに君臨し続けている。

 同氏のモットーは、彼の言葉を引用すると「女性が美しく見えるものを」だという。

■女性デザイナーたちの活躍に期待高まる

 クリスチャン・ディオール(Christian Dior)のデザイナーを務める英国出身のジョン・ガリアーノ(John Galliano)や、仏ブランド、バルマン(Balmain)のクリストフ・ドゥカルナン(Christophe Decarnin)、さらにはレバノン出身のデザイナー、エリー・サーブ(Elie Saab)なども、今回のコレクションを通して、「グラマー」についてのひと味違った見解を提案した男性デザイナー達だ。

 女性デザイナーの間では、ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)は実用的なラインを、セリーヌ(Celine)のイヴァーナ・オマジック(Ivana Omazic)がパリジェンヌのエレガンスを表現する中、ディーチェ・カヤック(Dice Kayek)のエチェ・エゲ(Ece Ege)はフューチャリスティックなコレクションを披露した。さらに、ベテランデザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)はケープとコルセットを巧みに使った新作を発表した。


 豪州出身のデザイナー、コレット・ディニガン(Collette Dinnigan)はショーの後、「私はいつも、自分がデザインした服をどのように着てもらいたいのか、そして自分が頭に描く人はどんな場所にいるのかを想像して服を作ります。私の服を着ることによって、特別なオーラを放ち、自信に満ちあふれるような気分になって欲しいのです。他人に混ざってしまってはいけません」とバックステージで語った。

 また、ディニガンは「もし流行がアンドロジニー(両性具有な要素を持つこと)的なものになったとしたら、女性デザイナーはやはり、ウエストとヒップラインを強調してしまうでしょう。でも、とてもロマンティックでふわりとしていて、ラインを強調したようなものであれば、男性デザイナーの方が実際はどのように女性の体型にそれを合わせるか、分かっていると思います。」と付け加えた。

 今回の2007/2008秋冬コレクションでは、デザイナーの半数が男性だった。これからは、彼ら男性デザイナーの本能的な知識に感謝しつつも、もっと女性デザイナーが活躍してもいいのではないだろうか。

 ディニガンは、この問題についての明確な答えはなく、デザイナーとしてのキャリアを積むことは大変なことだと言う。ディニガンは「女性の方がより繊細で、男性よりもファッション業界に対して感情的になりがちなのではないかしら」と述べた。

 ヒラリー・アレキサンダーは、男性デザイナーと女性デザイナーが女性の服をデザインする時のアプローチ方の違いは、まさに男女関係について書かれたアドバイスブックのタイトル、「火星から来た男、金星から来た女」が上手く説明しているのではと指摘した。

写真は、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)の新作を披露するモデル。(c)AFP/FRANCOIS GUILLOT