【サンフランシスコ/米国 5日 AFP】世界中のゲーマー達が集まる、ゲーム・デヴェロッパーズ・コンフェランス(略称GDC,ゲーム開発会議)が、今週4日からサンフランシスコで開催されている。主催者のCMPテクノロジー(CMP Technology)社によると、1年に一度開催されるゲーム界最大の同イベントは「ゲームにおけるアート・科学・ビジネスの開発」を活性化させていくことを目的としている。

■「Wii」は大人気

 数多くのゲームメーカーが1週間にわたって独自の製品をPRする中、今話題の任天堂「Wii」が特に目立っていたことは言うまでもない。発売前から爆発的な人気を誇っていたこの商品は、体の動きに反応する「モーション・センシティブ」コントローラーを持つことが特徴だ。

 およそ1万2500人のゲームメーカー・販売関係者達が世界中から集結するこの一大イベントだが、今シーズンは気軽に楽しめる、また社会問題を意識したゲームが多く登場している。

 気軽に楽しむゲームとしては、戦闘ものやカーレースもの、格闘ものなどとは対照的な、言葉遊びやパズル、そして昔ながらのボードゲーム系が主流。

■‘楽しい’ゲームに夢中

 同イベントのマネージャーを務めるMeggan Scavio氏は、「このようなカジュアルなゲームがゲーム業界で急成長してきています。パソコンや、携帯、iPodなどをそっちのけにしてこのような”楽しい”ゲームに夢中になる人が増えてきているのは明らかです」と語った。

 一方、社会問題を扱ったゲームが今回特に注目を浴びている。リアルタイム・アソシエイツ(RealTime Associates)社の社長デイビッド・ウォーホール(Davis Warhol)氏によると、この種のゲームは利用者を楽しませるよりは、「教訓」や「癒し」を与えることを目的としているという。

■話題を集めた注目のゲーム

 南カリフォルニアに本社を持つ同社は今回、2つの新商品を開発した。一つは、癌細胞の撲滅を試みみる「リ・ミッション(Re-Mission)」。癌を煩う子ども達に前途を見いだし、治療に前向きに取り組むよう促すことを狙ったゲームだ。もう一つは、バーチャル・ファンタジーゲーム「クール・スクール:ウェアー・ピース・ルールズ(Cool School:Where Peace Rules)」だ。学校内で起こるいじめなどの問題を、どのようにしたら平和的に解決できるかを提案するという新しいコンセプトの商品だ。

 ウォーホール氏によると、米国政府が後援するこのゲームは、1999年コロラド州で起こったコロンバイン高校銃乱射事件をきっかけに創られたという。

■平和的なオチのゲーム

 子ども同士のけんかに着想を得たこのゲームは、アニメ風に描かれた黒板消しやボールが衝突し、ちょっとしたけんかを起こすという設定だ。プレイヤーはこれらの問題を、平和的に解決していくことを求められる。

 もし、プレイヤーが「わいろ」や「脅す」などの選択をしたとしたら、シナリオは必然的に残念な結果を導く。逆に、プレイヤーが「譲り合い」を選ぶならば、ゲームはハッピーエンドという仕組みだ。

 メリーランド大学で発達心理学を教えるメラニー・キレン(Melanie Killen)さんは、「子ども同士のけんかは世界共通です。中国、日本、フランス、都会でも田舎でも、子ども達はおもちゃを取り合ってけんかするものです」と語る。同氏は、同商品の開発に大きく関わってきた。

■ゲームで社会勉強?

 「子ども達の世界に焦点を当てたゲームです。社会について教えてくれる家庭教師がいるようで、素晴らしいアイディアだと思います。まだ、問題はいくつかありますけれど・・・」とキレンさんは付け加える。

 問題となっているのは、発売に関する資金調達だ。多くのビデオゲーム販売メーカーは暴力的な格闘ゲームなどを好んでおり、企業出資には乗り気でないという。暴力的なゲームの王道とも言える「グランド・セフト・オート」を扱う米ゲーム制作会社などはその代表である。

 「このような健全なゲームは素晴らしいと思いますが、まだ財政的な課題が残されているのです。制作者達は、血まみれになったりや露骨な性的表現を扱う商品が売れると錯覚してしまっているのではないでしょうか。もし、市場に”クール・スクール”のような教訓的なゲームがあれば、親御さん達はこっちの方を子どもに与えたいと思うでしょう」と、キレンさんは付け加えた。

 4日、「クール・スクール」は米国連邦調停仲裁庁(The US Federal Mediation and Conciliation Service)の後援の下、イリノイ州内の学校区で試験プログラムを開始した。

 ウォーホール氏によると、ウェブ上で誰でも同商品を試せるようなシステムを作るためには企業の支援が不可欠だという。

■あらたなビジネスの場

 また5日からは、毎年30か国以上の国からゲーム業界関係者が集まるフランスのイベント、「ゲーム・コネクション(Game Connection)」が開催されている。

 ゲーム・コネクション社の広報担当者は、「配給会社・制作会社・投資家間に「出会いの場」を提供し、ゲームビジネスを支援していく事を目的としている」と、同コンベンションのコンセプトについて語った。

写真は2007年1月25日撮影。東京都内の電気店にて。(c)AFP/YOSHIKAZU TSUNO