【ベルファスト/北アイルランド 7日 AFP】4年間にわたり自治が凍結されている北アイルランドで7日、自治復活に向けた議会選挙が実施された。選挙後にはカトリック、プロテスタント両派が参加する連立政権が再構築される見通しだが、有権者の出足は重かった。

 北アイルランド自治政府は3月26日までに復活する予定だが、7日の北アイルランド議会(Northern Irish Assembly)選挙はこれを目指した施策の一環となっている。北アイルランドの有権者人口は110万人。1998年以来、議会選挙は今回を含めて10回目、議員108人を選出するのは、3回目となる。

 30年間におよぶ北アイルランド紛争は、1998年に和平合意をもって終結。その後、北アイルランド議会が設置されたが、党派間の対立によりほぼ機能停止の状態となった。さらに2002年、カトリック過激派アイルランド共和軍(IRA)による議会内でのスパイ疑惑が発覚。以降、自治は停止され、英国政府による直轄統治が復活した。

 前回の議会選からは4年ぶりとなるが、投票所が開く午前7時の数時間前にも、双方の最大党派であるプロテスタント系の民主統一党(DUP)とIRAの政治組織シン・フェイン(Sinn Fien)党は敵がい心をあらわにし、連立へ向けた協調からはほど遠く、へきえきした有権者らが投票への関心を失うのではないかと懸念された。

 第1党となることが予測されているのはDUPで、同党は北アイルランドの英国連合残留を主張している。第2党となることが確実視されているシン・フェイン党はカソリック系の社会主義党派で、統一アイルランドの実現を掲げる。長年敵対関係にある両者の連立政権となることから、成否については「賭けに近い」と懸念する声もある。

 DUPのグレゴリー・キャンベル(Gregory Campbell)議員は6日に出演したBBCテレビの討論番組で、「シン・フェインが民主的な政党であることを我々が十分納得するまで、彼らと同じ政権の座にはつかない」と発言した。「(連立を組むために)必要なところまでシン・フェインが変化するよう圧力をかけ続けるが、今から26日までに彼らが前進できるとは思えない」。

 一方、シン・フェイン党のジェリー・アダムズ(Gerry Adams)党首は、DUP側が和平への道を妨害していると非難する。
「我々に与えられている道は、紛争で血塗られ、涙にまみれたこれまでの過去へ舞い戻るか、アイルランドの人々のために新しい未来を築くかのどちらかしかない。DUPを支持している一般有権者が、彼らの支持政党がしていることは何か、気付くことを願う」

 7日、北アイルランドの報道番組は一斉に有権者に投票を呼びかけ、単記移譲式による投票方法(投票用紙に書かれた候補者氏名に優先順位をつける方法)を説明した。一方、ベルファスト・テレグラフ(Belfast Telegraph)紙、アイリッシュ・ニューズ(The Irish News)紙など地元紙は「静かな選挙戦」と称し、選挙に関する記事をわずかしか掲載しなかった。

 写真は6日、報道陣の取材に答えるシン・フェイン党のジェリー・アダムス党首(左)と、党幹部で北アイルランド和平交渉担当のマーティン・マクギネス(Martin McGuinness)議員(右)。(c)AFP/Peter MUHLY