【プノンペン/カンボジア 7日 AFP】1970年代のポル・ポト(Pol Pot)政権時代に発生した推定200万人の虐殺の責任を追及する、カンボジア特別法廷(Extraordinary Chambers in the Courts of Cambodia、ECCC)の開始が、裁判規定をめぐる判事同士の対立で難航していることについて、7日、裁判開始に必要な裁判規定を決定するため、カンボジア人判事および外国人判事らの合同調整協議が開始された。ポル・ポト派(クメールルージュ、Khmer Rouge)幹部らの高齢化が進んでおり、今回の協議が裁判実現を救う最後の機会と見る者もいる。

■裁判規定めぐる対立などで開廷遅れる

 カンボジア特別法廷は、国連(UN)とカンボジア政府の共同出資による国内法廷として設置。カンボジア人と外国人の判事による合議制で、2審制。両審ともカンボジア人判事が1人多いが、判決には外国人判事1人の同意を必要とする。

 国連とカンボジア政府は7年間の交渉を経て2003年、3年を期間とする合同の特別法廷設置に合意した。法廷は2006年7月に公式に発足したが、当初は同年末に予定されていた開廷が、裁判規定をめぐる両者の不一致や、国連負担金を拠出する各国がカンボジアに求める反汚職法の制定が遅れていたことで大幅に遅延した。

 裁判全体の要素を規定する調整協議は3度目で、期間は7日から1週間。1人目の旧ポル・ポト派幹部訴追を開始させるため、調整は必要に迫られている。外国人判事とカンボジア人判事は合同協議を控えた前週末、別々に会合を開いた。これについて関係者らは、両者ともに対立による行き詰まり打開を模索している兆候とみなしている。

■2008年の裁判開始に「楽観視」

 前年11月の規定調整協議では進展がなく、今年1月にも司法関係者による特別委員会が調整を試みたが、重要な数か所について合意に至らず、協議は暗礁に乗り上げた。

 しかし同法廷関係者らは、今回の協議では何らかの合意が得られ、判事全員が4月までに公式に規定を採用するだろうと楽観視している。順調に進んだ場合、旧ポル・ポト派幹部初の裁判が2008年に開始される見通しが開ける。

 ポル・ポトは1989年に死去し、特別法廷を待つ原告のうち、拘留中の元幹部は1人のみ。同じく訴追される可能性のある他の元幹部らは、カンボジア国内で何ら拘束も受けずに生活している。また、やはり拘束が確実視されていたポル・ポト派司令官、タ・モク(Ta Mok)元参謀総長が前年に死亡。他の元幹部らも、法廷に召喚される前に高齢化により死亡しかねないとの懸念が高まっている。

■カンボジア弁護士協会、案件「乗っ取り」を懸念

 法廷管理者のMichelle Lee氏とSean Visoth氏は7日、協議開始前の共同会見で、「今回の協議期間中に、規定作成が完了すると大いに期待している。不確定要素もあるが、(裁判官らの)作業を支援していきたい。この10日間、再び世界の目がわれわれに注がれている」と述べた。

 判事らの主要な対立点は国際弁護団の役割で、カンボジア弁護士協会では、自らが扱うべき案件が外国人弁護士らに「乗っ取られる」と強い懸念を表明している。

 写真は7日、カンボジア特別法廷の判事らによる規定調整協議を控え、共同会見する法廷管理者や判事たち。国連の任命を受けたMichelle Lee同法廷事務局副調整官(左)、カンボジア政府の同法廷特別作業班主任Sean Visoth氏(中央)、カンボジア人判事Prak Kim San氏(右)。(c)AFP/TANG CHHIN SOTHY