【台北/台湾 5日 AFP】ベトナムの商都ホーチミン市(Ho Chi Minh City)出身の中国系三世のある女性は、台湾人男性と結婚すれば、貧しい家族の生活の助けになるだろうと考えていた。

 電子機器工場に務めていたAh-yingさんが、ある台湾人男性と彼の息子に会ったのは2000年。ベトナムの結婚仲介エージェンシーを通しての出会いだった。初めて会ってから3日後、Ah-yingさんは24歳だったその息子、Ah-tehさんと結婚し、より良い生活を夢見て台湾へ渡った。しかし、夢が悪夢と化すまでに時間はかからなかった。

 「それまで気付かなかったのは言葉の壁があったからだと思います。一緒に暮らし始めて3か月ほどして、ようやく、夫が軽度の知的障害を抱えていることを理解しました」。台北(Taipei)の家は、夫の後見人となっている父親と彼が再婚した女性も同居していたが、Ah-yingさんに対する夫の態度は満足できるものだったという。しかし、結婚から2年後、健康な男児を出産すると状況は一変した。

 2004年、男児が2歳になると、台湾の家族はAh-yingさんを言葉を理解しないという理由で追い出した。当初は週に2度、男児に会うことを許可されたが、夫は何の援助もしてくれなかった。

 国際結婚した外国籍配偶者のための法律、婚姻、社会生活関連の相談を受け付けている台北のNPO、「エデン社会福祉財団(Eden Social Welfare Foundation)」のソーシャル・ワーカー、Chang Hsin-yiさんは問題をこう指摘する。「このベトナム人女性は、夫の父親に代理母として利用されたのではないかと疑っています」。

 警察記録によると、外国人女性と結婚した台湾人男性の中には妻を虐待し、妻に身分証明書を取得させない者もいる。身分証明書がなければ、虐待からの保護を求める権利が生まれないからだ。また多くの虐待男性は、妻の居住権取得も妨害しようとする。

 周囲に頼る人のいなかったAh-ying さんはエデン社会福祉財団へ駆け込み、今年2月12日に初めて、台湾政府発行の身分証明書を入手した。現在は台北の電子機器製作工場で働き、月2万台湾ドル(約7万円)を稼いで自活している。また、エデンの支援を受け、出産した男児の親権をめぐり夫家族を相手に訴訟を起こした。現在は子どもと月2回の面会を許可されているだけだからだ。「離婚したくて訴訟しているのではないんです。ただ息子を取り戻したい。息子に会えないことが辛いのです」。

 写真は、台湾人男性と結婚したベトナム人女性が通う語学教室(2007年2月5日撮影)。1987年以降の統計を総合すると、台湾人と結婚した外国人は計約34万人で、そのほとんどは中国本土または南アジア出身の女性だという。(c)AFP/SAM YEH