【東京 1日 AFP BB News】若き日のハンニバル・レクターを描いたハンニバル・シリーズ最新作映画、『ハンニバル・ライジング(Hannibal Rising)』の日本公開に先立って、制作者、監督、主演俳優の合同記者会見が28日、ラフォーレミュージアム六本木で開かれた。会見には、『羊たちの沈黙(The Silence of the Lambs)』後のハンニバル作品を製作しているマーサ・デ・ラウレンティス(Martha De Laurentis)氏、ピーター・ウェーバー(Peter Webber)監督(『真珠の耳飾りの少女(Girl with a Peal Earring)』)、そして主演に抜擢されたフランス人俳優のギャスパー・ウリエル(Gaspard Ulliel)が出席した。

「ハンニバル・レクター記憶の宮殿」と名付けられた会場には、テオドール・ジェリコーやウィリアム・ブレイクの絵画の映像が四方の壁に映し出され、黒いマスクをした給仕が高級ワインや脳スイーツ(モンブランの脳みそ仕上げ、ジュレ掛け)を供するなど、独特のハンニバル・ワールドが演出された。

 本作は『羊たちの沈黙』がアカデミー賞主要5部門を独占したことで、その名が世界に知れ渡ったレクター博士が、「インテリジェンス」と「人喰い」の魅力に取り憑かれた経緯が描かれている。

 アンソニー・ホプキンスの強烈な存在感で大成功を収めたハンニバル・レクター作品。その人気シリーズの最新作を製作するプレッシャーはなかったかとの質問にウェーバー監督はこう語った。

「過去の作品は特に意識しませんでした。原作者で今回は脚本も担当しているトマス・ハリス自身がやりたかったことも、今までの作品とは違います。新しいエネルギーを生み出そうとしたのです。本作は舞台もヨーロッパだし、その他の作品とはまったく違う雰囲気に仕上がっています。一言で言えば、『大人のおとぎ話、ゴシック・ウエスタン復讐劇』です」

 また、主演のギャスパー・ウリエルの演技について、「ギャスパーはハンニバルを演じるために生まれてきたようだ。アンソニー・ホプキンスが作った偉大なるイメージから見事に逃げおおせ、フレッシュなハンニバルを作り上げました」と称賛した。

■ハンニバルの謎を解く鍵は「日本」

 今回初めて登場するハンニバルの日本人の叔母、レディ・ムラサキとの出会いを描くことによって、本作にはハンニバルの人格形成に重要な役割を果たした日本的要素が全編にちりばめられているが、日本が大好きで、今回で5回目の来日となるギャスパー・ウリエルは、「ハンニバル・レクターは音楽・芸術に造詣が深く、日本の伝統的文化、特に武士道は彼の生活に多大な影響を与えました。演技をする上で日本の伝統文化に触れることができ、とてもうれしかった」と語った。

 アンソニー・ホプキンスの演技を参考にしたか、との質問に対しては、「『羊たちの沈黙』は映画史上不滅の名作。もちろん、アンソニー・ホプキンスの演技は研究しましたが、その演技をコピーしただけでは、創造性に欠けます。自分のレシピに1つの要素として取り込んだだけ。家族のために復讐する若いハンニバルのイノセントな部分をかなり自由に演じました」と、演技に対する自信をのぞかせた。

 『ハンニバル・ライジング』は4/21(土)、日劇PLEXほか全国ロードショー

 写真は、主演のギャスパー・ウリエル。(c)AFP BB News

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