【コルカタ/インド 27日 AFP】風俗産業を合法化し、売春婦を法律上「接待業者」として権利拡大を政府に認めさせることを目的とした6日間の全国会議が、コルカタ(Kolkata)の歓楽街で26日に開幕した。

 インドでは、風俗産業を全面的に禁止してはいないが、人身売買や客引きは違法とするなど、風俗産業に対する法があいまいである。そんな中、風俗産業を合法化すべきという声が高まりを見せている。

 会議を主催した国内最大の売春婦支援団体「Committee for Indomitable Women」によると、会議には約5万の個人・団体が出席した。映画制作者、俳優、作家、人権活動家、保健所の職員も出席し、売春婦らと意見交換をする予定となっている。

 さらに、啓発を目的とした集会も市内の公園で開催された。同団体の主席顧問で医者でもあるSmarajit Jana氏は、集会で、「売春婦を接待業者として合法化すれば、彼女らは売春婦の名に恥じる必要がなくなる。より多くの権利を享受することができる」と演説。売春婦らもシュプレヒコールをあげて演説を後押しした。

 売春婦は、コルカタ市内には2万人、会議が開催された歓楽街「ソナガチ(Sonagachi)」には8000人いるとされる。ソナガチは政府に対し最も積極的に働きかけている地域の1つであり、1992年以来、世界保健機関(WHO)のプロジェクトの一環としてコンドームが無料配布されている。また、前年12月には女性用コンドームの使用促進を目指した国家プロジェクトが同地域で始動した。

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)によると、インドではエイズ感染者数が世界最大の570万人にのぼっており、エイズは深刻な社会問題となっている。UNAIDSは、ソナガチを感染拡大予防のモデル地域としており、他地域の歓楽街にも同様のプロジェクトを順次導入していく構えだ。

 先の「Committee for Indomitable Women」によると、国内には合計で約1000万人の売春婦がいるという。

 写真は、会議の開催式に風船をもって参加する売春婦たち。(c)AFP/ Deshakalyan CHOWDHURY