【ロサンゼルス/米国 25日 AFP】イタリア人作曲家/指揮者のエンニオ・モリコーネ(Ennio Morricone、78)が、第79回アカデミー賞(The 79th Academy Awards)授賞式で名誉賞を受賞した。セルジオ・レオーネ(Sergio Leone)監督が製作した「マカロニ・ウエスタン(Spaghetti Westerns)」と呼ばれるイタリア製西部劇の音楽を多数手がけたことで知られるモリコーネは、45年間に及ぶキャリアの中で数百曲もの楽曲を映画に提供している。

■次に続く若手にメッセージ

 映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences)は、モリコーネの「壮大で多角的な映画音楽への貢献」が受賞に値すると評した。

 プレゼンターを務めたクリント・イーストウッド(Clint Eastwood)はモリコーネがイタリア語で語ったスピーチを通訳した。「このような栄誉ある賞を受賞したことのないアーティストたちのことを考えています。彼らは献身的にその才能を芸術につぎ込んでいます。いつの日か、彼らの作品が今日の私のように評価を受ける日が来ることを祈っています。」

 イーストウッドは語った。「モリコーネは、この受賞を終着点ではなく、これまでと変わらぬ献身的な情熱を持って、映画音楽に取り組んでいくための出発点だと考えています。」

■心に残る愛される楽曲

 モリコーネはこれまで、自身が手がけた音楽で5度のアカデミー賞ノミネートを果たしている。「天国の日々(Days of Heaven)」(1978)、「ミッション(The Mission)」(1986)、「アンタッチャブル(The Untouchables)」(1987)、「バグジー(Bugsy)」(1991)、「マレーナ(Malena)」(2000)だ。しかし、オスカー受賞には至っていなかった。

 映画芸術科学アカデミーのシド・ギャニス(Sid Ganis)会長は、「モリコーネは、ただ多くの楽曲を映画界に提供してくれただけではなく、その1つ1つが我々の心に残る、愛される音楽となっているところが素晴らしい」と語った。

 モリコーネがこれまで共に作品を手がけてきた映画監督には、学生の頃からの友人だったレオーネ監督のほかに、フェデリコ・フェリーニ(Federico Fellini)、ピエル・パオロ・パゾリーニ(Pier Paolo Pasolini)らが名を連ねている。そのほかにも、クエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)監督の「キル・ビル(Kill Bill: Vol. 1)」で、作曲の要請を断ったことを、チャンスがあればいつもうれしそうに語っている。

■名曲ばかり

 モリコーネが手がけた作品の中には、「荒野の用心棒(A Fistful of Dollars)」、「夕陽のガンマン(For a Few Dollars More)」、「続・夕陽のガンマン/地獄の決斗(The Good, the Bad and the Ugly)」、「ウエスタン(Once Upon a Time in the West)」、「Mr.レディ Mr.マダム(La Cage aux Folles)」、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(Once Upon a Time in America)」、「ニュー・シネマ・パラダイス(Cinema Paradiso)」などがある。

 モリコーネは以前、あるインタビューでこう答えている。「映画音楽を作るとき、映画を見る人々のことと、視聴者が理解できる音楽を作るということを念頭に置いておかなければならない。複雑な音楽を作って、視聴者を映画から遠ざけてしまうなんてとんでもないことです。」

 監督から“難解”な音楽を作ってくれと言われたら、「その映画はヒットしない、そんな映画を見に行く人は少ない」とモリコーネは語る。「これは私に対する教訓です。私は音楽を誇りにしていますが、状況を常に把握していなくてはならない。映画の視聴者は一般的に、音楽に対する高いこだわりや知識を必要としていないのです。優れた映画音楽の作曲家というものは、無長音楽やハ長調のメロディに強くなくてはなりません。どんな時代やどんな作曲家のスタイルにおいても、曲を作ることができなくてはなりませんが、重要なポイントは、個性を無くさないことです。」

写真は受賞トロフィーを手にしたエンニオ・モリコーネ氏。(c)AFP/Roberto SCHMIDT