【ハリウッド/米国 25日 AFP】裸の男、激しい政治酷評、会場に罵られる受賞者達…。本来の授賞式よりも、度々起こる珍事件で注目を浴びる事が多いアカデミー賞。ハリウッドで行われる、映画界最大のアカデミー賞主催者達は毎年、予想のつかない数々のハプニングにやきもきしているようだ。

■ハプニングもイベントのひとつ

 米国で行われる一大イベントではよくあることだが、たとえ録画されていたとしても、授賞式で起こったその数々のハプニングは世に流れてしまうことがある。有名な例としては、2004年のスーパーボール(Super Bowl XXXVⅢ)で胸元を露出してしまったジャネット・ジャクソン(Janet Jackson)だ。

 そして、テレビのスクリーン前で世界中の視聴者がその姿を見ているにもかかわらず、オスカー像を手にした受賞者たちは政治的権力にまでその欲を重ねてしまう。

 昨年、助演男優賞を受賞したジョージ・クルーニー(George Clooney)は、「エイズ患者など弱者の権利の有利になるような働きかけをしている自分に『誇り』を感じている」と明言した。当時はまだこの話題は大変デリケートなものだった。

■記憶に新しいマイケル・ムーア監督の問題発言

 さらに争論を巻き起こしたのは、2003年、第75回アカデミー賞授賞式でドキュメンタリーの巨匠マイケル・ムーア(Michael Moore)監督が発したコメントだ。米・英国がイラクへの空爆を開始したちょうど3日後のその日、ムーア監督は「ブッシュ大統領よ、恥を知れ」と叫び、会場からブーイングを受けた。

 その30年前、「ゴッドファーザー」でアカデミー賞を受賞したマーロン・ブランド(Marlon Brando)は、代わりに「Sacheen Littlefeather」と名乗るネイティブアメリカンの女性を会場に送り、受賞を拒否した。騒然とする会場でこの女性は、「ハリウッド映画におけるネイティブアメリカンの描き方が不当だ」というブランドのコメントを代弁した。

 1977年には、ヴァネッサ・レッドグレイヴ(Vanessa Redgrave)が反ナチの活動家を演じた作品「ジュリア」で賞を受け取る際、アカデミー賞主催者に対し感謝を述べるとともに、「シオニストたちの脅しにもかかわらず」この作品が成功を収めたと発言し、会場のひんしゅくを買った。

■裸の男性も乱入?

 また、1999年、元共産党員である俳優エリア・カザン(Elia Kazan)がオスカー像を受け取る際、会場の一部分は拍手をしなかった。1950年代に下院の非米活動委員会とともに率先して「赤狩り」を進めたジョセフ・マッカーシー(Joseph MacCarthy)上院議員に同調したと、共産主義者の嫌疑がかけられたことが原因だった。

 さらに政治的話題とは別に、こんな話もある。1974年、裸の男が警備の目を盗み、舞台に上がった時のことだ。受賞したデビッド・ニーブン(David Niven)は会場の混乱を避けるため冷静に、その謎の男のプロポーションを嘲笑した。

 また、2003年にオスカー像を受け取ったエイドリアン・ブローディ(Adrien Brody)が、ハル・ベリー(Halle Berry)に思いきりキスしたことや、1999年にイタリアの俳優ロバート・デニーニ(Roberto Benigni)が「ライフ・イズ・ビューティフル」で賞を受け取る際に「みんなにキスを」と椅子から椅子へ走り回ったことなども、特筆すべき話題であろう。

■司会者の腕の見せ所

 このように波瀾万丈な歴史を持つアカデミー賞授賞式だけに、司会者の力量が問われるところだ。昨年司会役に就任したジョン・スチュワートは「紳士淑女のみなさん…」から始まるフレーズで、性同一性障害を持つ男性を見事に演じたフェリシティ・ホフマン(Felicity Huffman)を表彰した。しかしながら、1987年に司会者を務めたコメディアンのチェビー・チェイス(Chevy Chase)は、偽善的なハリウッドなる発言をし、会場からの冷たい視線を浴びた。

写真は、2003年の第75回アカデミー賞授賞式でブッシュ大統領に対し問題発言をしたドキュメンタリーの巨匠マイケル・ムーア(Michael Moore)監督。(c)AFP