【ニューデリー/インド 18日 AFP】携帯電話大手、Hutchison Essarの株式の67%を111億ドル(1兆3464億円)で取得した英ボーダフォン(Vodafone)のアルン・サリン(Arun Sarin)最高経営責任者(CEO)が、故郷インドへ“凱旋(がいせん)帰国”した。

■「学生時代の夢」かなう

 かつてはインド工科大学インド工科大学(Indian Institute of Technology、IIT)で学んだサリンCEOは、講演ためインドへ向かう途中、「こうした取引はわれわれが学生のころから夢見てきたものだ」と満面の笑みで記者団に語った。

 今回の帰国は各紙の一面トップを飾り、4日間の滞在中は終始、メディアに追い回されることとなった。この間、サリンCEOはマンモハン・シン( Manmohan Singh)首相や政府高官、Hutchison Essarの重役らと会談した。

 陸軍士官の家に生まれたサリンCEOは、国内最難関といわれるITTを卒業後、世界中の企業で重役を歴任。そんな同氏にとって、Hutchison Essarの経営権掌握は、「個人的にうれしいこと」だという。とはいえ、今回の株式取得は、あくまでも会社のためだと強調する。

■買収価格の抑制と欧州市場依存からの脱却が課題

 これまでボーダフォンは、企業買収における過払いに対して投資家から批判を浴びてきた。2005年にトルコの携帯業界第2位、Telsimを45億5000万ドル(約5432億円)で買収したことは記憶に新しい。アナリストらによると、ボーダフォンはTelsimの加入者1人につき500ドル(約5万9700円)近くを支払った計算になるが、今回Hutchison Essarの加入者には1人当り900ドル(約10万7460円)を支払った計算になるという。

 今後の課題は、欧州市場に対する高い依存度からの脱却だ。サリンCEOは、「ボーダフォンの方針は極めて戦略的だ」と述べ、拡大するインドの携帯電話市場への本格参入に誤りはないとの自信を見せている。

 現在インドでは、人口11億人の携帯電話使用率は、わずか13%。だが、最近では月次600万人以上のペースで加入者が増加しており、極めて堅調な市場拡大が進んでいる。

 写真は14日、ニューデリーで記者会見を行うサリンCEO。(c)AFP/MANAN VATSYAYANA