【リオデジャネイロ/ブラジル 14日 AFP】サンバ・パレードのコンテストが目玉となる「リオのカーニバル」が今週末に始まる。その舞台裏ではすでに競争が始まっている。コンテストに参加する各サンバ・スクールが、パレードの内容をライバルに探られないよう警戒しあっている。

 ブラジル人はリオ(Rio)のカーニバルを「地球で最も熱狂的なショー」と呼ぶが、本番前からすでに全国の路上で、焼け付くような日差しの中、ドラムをたたき、歌い、祭り気分を盛り上げる。

 サンバスクールのアーティストやスタッフは会場となる「カーニバルのメッカ」、サンボドロモ(Sambodromo)スタジアムでの勝利を目指し、熱心に準備に励む。サッカー競技場7個分の広さを持つサンボドロモでは、18日から19日にかけてオールナイトでパーティが開かれ、官能的なダンサーたちの姿とサンバのビートに10万人が酔いしれる。本番ではダンサーたちは自慢の踊りを披露するが、それまではすべて秘密だ。

■ サンバの秘密が詰っているサンバ・シティ

 山車やコスチュームなどの準備が進められているのは、リオ港近くにある複合施設サンバ・シティ(Samba City)だ。職人、仕立て師、エンジニアなどのスタッフ約4000人がサンバ・スクール14校のメンバー、3000~5000人のために汗を流す。

 このサンバ・シティには「職業上の秘密」を漏らしてはならないという独自の規則が設けられている。また、チームのメンバーはライバルチームの作業場周辺をを通る際、特別に許可を得なければならない。さもなくばスパイだという疑いをかけられても文句は言えない。撮影したい場合は、撮影者や撮影する場所などを各校の広報担当者が決める。ジャーナリストの取材にも、常に学校側のスタッフが同行する。

 市内最大のサンバスクールMangueiraのパレード責任者、Max Lopes氏は「最大の問題はスパイなのです」と説明する。

 Porto da Pedra校の広報担当者Karla Sampaio氏は、自宅でさえもパレードの内容については固く口を閉ざさなければならないと言う。「家でもほとんど話せません。父がMangueira校の準備をしているからです」。

 Mangueira校の準備場所、サンバ・シティ内の倉庫では、300人が日夜山車の制作に取り組んでいる。電気仕掛けにしたいため電気系統や油圧制御のテストも行っている。

 Mangueira校の今年のパレードのテーマは、「ポルトガル語」。ダンサー4000人が山車の上で踊りながら大会場を行進する予定だという。

 リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)の巨大な貧民街「ファヴェーラス(favelas)」では、毎日のように起こる暴力沙汰に人々が心を痛めているが、パレードに参加する者はカーニバル期間中のみ、暗い日常から逃れて浮かれ騒ぐ。

 例年カーニバルの時期、リオに動員される警官の数は約4万人。犯罪に祭りを妨害されないよう警戒する。

 今年のカーニバルは16日に開始する。巨体の男性が演じるカーニバルの王様「キング・モモ(King Momo)」が、開幕のシンボルである「市の鍵」を受け取ってカーニバルの幕は開き、「灰の水曜日(四旬節の初日)」まで続く。
 
 写真はリオデジャネイロ市で13日、パレード用台車の最後の仕上げを行うMangueiraサンバ・スクールのスタッフら。(c)AFP/VANDERLEI ALMEIDA

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