【ワシントンD.C./米国 9日 AFP】政府高官が9日に明らかにしたところによると、イラク戦争開戦時に、強硬派で知られたダグラス・フェイス(Douglas Feith)元国防総省政策次官が「不適切」な諜報活動に従事していたことが調査の結果、明らかになった。

■「フェイス元次官のねつ造」を結論づける機密文書

 カール・レビン(Carl Levin)上院議員(ミシガン州、民主)によれば、2003年のイラク戦争開戦時に、国防総省の「機密文書」は、国内外の支援集めに奔走したフェイス元次官らを「激しく非難」しているという。

 この機密文書は、国防総省情報部により作成されたものである。2002年9月から2003年6月にかけてのフェイス元次官の諜報活動については、2005年、国会の要請により調査が進められてきた。

 それによれば、フェイス元次官は、当時、国防長官であったドナルド・ラムズフェルド(Donald Rumsfeld)氏の下、イラクと国際テロ組織・アルカイダ(al-Qaeda)の関係について「不適切な」諜報活動を行い、両者の関係性を指摘する報告書を提出したという。

 しかし、国内情報機関の大半は、そうした事実を確認することはできなかった。

 機密文書はさらに、「サダム・フセイン(Saddam Hussein)元大統領とアルカイダとの密接な関係を指摘したのも、フェイス元次官と断定しているもよう。

そして、この機密文書は、「元次官の報告書は、事実とは異なる情報をねつ造し、普及させるためのものだった」と結論づけているとされる。

■ブッシュ大統領、チェイニー副大統領らは、フェイス元次官報告書を信頼し開戦へ

 ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領はフェイス元次官のこの指摘を受け、2001年の9.11同時多発テロがイラク戦争を引き起こしたと主張した経緯がある。

 レビン上院議員は、ディック・チェイニー(Dick Cheney)副大統領ら政府高官も、フェイス元次官の報告書を重要資料として活用していたと指摘した。

「事実、イラクとアルカイダの関係についてチェイニー副大統領は、フェイス元次官の報告書が"最も信頼できる情報源"と語ったことがある」(レビン上院議員)

 フェイス元次官は2005年に辞任。現在はワシントンのジョージタウン大学(Georgetown University)で教鞭を執っている。

 写真はイスラマバードで記者会見に答えるフェイス元次官。(2005年2月3日撮影)(c)AFP/Jewel SAMAD