【クアラルンプール/マレーシア 5日 AFP】反戦関連の会議に出席したマハティール・モハマド(Mahathir Mohamad)前首相は4日、開会演説において、トニー・ブレア(Tony Blair)英首相とジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush )米大統領を「子ども殺し」「戦争犯罪人」などと表現した。

■英米首脳は「サダムより劣悪」

「ブレア英首相とブッシュ米大統領は、イラクでの軍事行動について裁判にかけられるべきだ」とマハティール前首相は語り、「歴史は、両者が子どもを殺し、偽りを語った首相と大統領であることを忘れてはならない。両者の行為は、サダムが行ったことよりも劣悪だ」と述べ、12月に絞首刑となった故サダム・フセイン(Saddam Hussein)イラク元大統領と比較した。

 さらに、オーストラリアのジョン・ハワード(John Howard)首相にも矛先を向け、「オーストラリアのブッシュランド(雑木林)にいる小型ブッシュ」と切り捨てた。

 約20年間の首相在任中、マハティール前首相は欧米諸国に対する厳しい批判と扇動力で知られた。2003年の引退後も、不安定さを増していく中東情勢について、激しい言論を続けてきた。同氏はボスニアの市民団体から、ボスニア紛争終結後のボスニア再建に尽力したとして2007年のノーベル平和賞候補に推薦されている。

■より公正な「新裁判所」を提案

 マハティール前首相は前週、イラク、レバノン、パレスチナ自治区での虐待の犠牲者たちの申し立てに特化した、非公式な戦争犯罪裁判所の創設計画を公表した。現在、戦争犯罪や人道に対する罪を犯した個人を裁いているオランダ、ハーグ(Hague)の国際刑事裁判所(ICC)の審理は偏っているとして、自ら新裁判所を提案した。

 同氏が開会演説をした4日の戦争犯罪会議には、虐待や拷問の犠牲者であると主張するパレスチナ人やイラク人、レバノン人17人も出席した。マハティール前首相は、そうした人々の申し立てについて調査し、主張の正当性が確認された場合、ICCに働きかける「戦争犯罪委員会」をクアラルンプール(Kuala Lumpur)を拠点に新設する意向も示している。

 こうした同氏の構想では、ICCに代わる裁判所は法的権限を持たず、いかなる政府の支援も受けないが、「犯罪者の不正行為が歴史書に確実に刻み込まれる」ことに意義があるという。
「その裁判所でブレア首相が有罪を宣告されたとしても、われわれは彼を絞首刑にはしない。しかし、彼は今後常に、戦犯や子ども殺し、嘘つきといったラベルを背負っていくべきなのだ」

 写真は5日、反戦会議で演説を行うマハティール前首相。(c)AFP/TENGKU BAHAR