【パリ/フランス 30日 AFP】パリで1日、死刑制度の廃止を訴える国際会議(World Congress Against the Death Penalty)が開幕した。日本人元死刑囚の免田栄さんが、無罪を勝ち取るまでの34年間の苦しい獄中生活について語り、聴衆は固唾をのんで話に聞き入った。

 免田さんは1948年、2人を殺害した容疑で逮捕、翌年死刑判決を受けた。1952年に死刑が確定するが再審を繰り返し請求し、1983年に無罪判決を勝ち取った。(免田事件)

「アリバイ捜査に対し、事件発生当時は現場にいなかったと主張したが、警官らが書いた自白書に無理やりサインさせられた」
「死刑判決を受け、控訴も棄却された。最高裁でも有罪と見なされ上告が棄却されたが、私が無実だということは私自身がよく知っていたから、再審請求を行った」

 免田さんは、死刑判決後は食事ものどを通らなかったと話した。

「いつ死ぬかと思うととても恐ろしくて、教戒師といろいろ話した。教戒師が聖書をくれたので、毎日読んだ」

 3日間にわたって開催される国際会議は、フランスとドイツによる死刑廃止への呼びかけで始まった。

■シラク大統領、最高刑罰を終身刑に減刑するよう呼びかける

 ジャック・シラク(Jacques Chirac)仏大統領は、フィリップ・ドストブラジ(Philippe Douste-Blazy)外相が読み上げた声明で、「死刑制度を存続している国はまだたくさんあるが、世界中から結集した勢力がより人道的な正義を求めているのは、喜ばしいことだ」と述べた。

 また、死刑制度存続国に向けて、最高刑罰を終身刑に減刑するよう呼びかけた。

「待ちかまえる非人道的な運命を免れるべき(冤罪の)人々は数百人に及ぶ。彼らの中には獄中で数十年も死の恐怖にさらされている人もいるのだ」(シラク大統領)

■死刑制度を存続している国は22か国

 2005年時点で、死刑制度を存続している国は世界で22か国。先進国では日本と米国(州によっては廃止)のみだ。

 53の非政府組織(NGO)や弁護士会などでつくる世界死刑廃止連盟(World Coalition against the Death Penalty、WCADP)は、2005年1年間のみで2148人の死刑が執行され、中国、イラン、サウジアラビア、米国で特に多いと報告している。

 日本では死刑を支持する世論が根強い一方、絞首刑を残虐な刑罰として反対する人権団体や弁護士らもいる。死刑判決が下される件数は近年増加する傾向にあり、昨年は4人に刑が執行された。

 写真は、会議に出席したドストブラジ仏外相(左)とロベール・バダンテール(Robert Badinter)元法相。フランスはバダンテール氏が法相を務めていた1981年、死刑制度を廃止した。(c)AFP/CHRISTOPHE SIMON