【マイアミ/米国 29日 AFP】NFL、2月4日に開催される第41回スーパーボウル(Super Bowl XLI)では、新たな歴史が生まれることなる。インディアナポリス・コルツ(Indianapolis Colts)とシカゴ・ベアーズ(Chicago Bears)のスーパーボウル進出は、NFLにおいて、NBA、MLBと同様に、黒人監督に率られたチームが初めてタイトルを獲得するということを意味するからである。
 
■初の黒人ヘッドコーチ対決となるスーパーボウル

 初の黒人ヘッドコーチ対決に関して質問されたコルツのトニー・ダンジー(Tony Dungy)ヘッドコーチは、「嬉しいことに、今の子供たちは『いつかコーチになる。』と口にしている。それは特別なことだ。我々の世代でスーパーボウルを観ていた子供は、一度もアフリカ系アメリカ人のコーチを観たことが無かった。また、プレーヤーにはなれても、QBになることはほとんど無かった。」と、黒人ヘッドコーチとしてスーパーボウルに出場することへの喜びを語った。

 一方、ベアーズのラヴィ・スミス(Lovie Smith)ヘッドコーチは、「非常に重要なことだ。NFLが目指している道は好ましく思うし、正しい方向に進んでいると思う。今回の事(黒人ヘッドコーチ対決のスーパーボウル)が子供たちにより多くの機会を与える事を望んでいる。」と語り、「ファンにとっては、NFLで最も大切なゲームであるスーパーボウルを観て、その場で2人の黒人がチームを率いている事を目撃するのはとても重要なことだ。」と付け加えた。

 NFL史上初の黒人ヘッドコーチは、1990年にロサンゼルス・レイダーズ(Los Angeles Raiders、現オークランド・レイダーズ、Oakland Raiders)のヘッドコーチに就任したアート・シェル(Art Shell)氏である。32人いる現在のヘッドコーチの中で黒人ヘッドコーチは6人であり、NFLの歴史を通しても僅か9人ほどしか存在しない。

 しかし現在では、ミネソタ・バイキングス(Minnesota Vikings)のディフェンシブコーディネーターを務めていたマイク・トムリン(Mike Tomlin)氏が、34歳の若さでピッツバーグ・スティーラーズ(Pittsburgh Steelers)のヘッドーコーチに就任するなど、より多くの黒人コーチが誕生する傾向にある。

 スミスは、黒人ヘッドコーチという存在が注目されることが無くなる日を望んでおり、「その日は必ずくる。我々がスーパーボウルに出場することで今は話題になっているが、何年か経てば話題にはならないと思っている。そんな日が来るのを楽しみにしている。」と語った。
 
 
■師弟対決となるスーパーボウル

 コルツのヘッドコーチ、ダンジーは、タンパベイ・バッカニアーズ(Tampa Bay Buccaneers)でヘッドコーチを務めていた1996年に、スミスをラインバッカーコーチとして登用していた。ダンジーがコルツ、スミスがベアーズのヘッドコーチになった現在でも、2人の関係は続いているが、コルツとベアーズが対戦するスーパーボウルにおいて2人は、バッカニアーズ時代から続いている友情を一時捨て去ることになる。

 師弟対決に関してスミスは、「ダンジーは私に初めてのNFLコーチとしての地位を与えてくれた。彼の仕事を近くで見る機会があった。彼が多くの困難な状況の中でどのように選手を扱うのかを見てきたんだ。」と語る。

 一方のダンジーは、「我々の関係はフットボールだけの物ではない。私は、ラヴィがどんな人間か知っている。私と同じようにチームを率いている。ベアーズの選手がどのように起用されているか、コーチの指示やチームの雰囲気に関係なく、訓練されたタフなプレーすることも知っている。」と語った。

写真は、プレーオフNFC決勝でニューオーリンズ・セインツ(New Orleans Saints)に勝利し、笑顔を見せるベアーズのヘッドコーチ、スミス。(c)AFP/Getty Images Al Bello