【東京 29日 AFP】女性について「産む機械、装置」などと発言した柳沢伯夫厚生労働相に対し、安倍首相は29日午前、同厚労相から電話で説明を受けた後、厳しく注意した。支持率が下降する安倍政権にとり、問題のひとつに厚労相の失言が加わった。

 民主党の小沢一郎代表は29日午後、国会の代表質問で柳沢氏の発言について、「何と釈明しようとも、政治家である以前に、人間として許されない」と述べ、首相に厚労相の任命責任があると批判した。

 安倍首相は、厚労相発言は不適切であり、誤解を招く発言をしないよう今後注意するよう同相に厳重に注意したと語ったが、柳沢氏の解任などの懲罰措置については言及せずにとどまった。塩崎恭久官房長官は同日午前の会見で、「発言は不適切だと思うが、(柳沢氏は現場で)直ちに訂正している」と述べた。

 厚労相は同日昼、厚労省内での記者会見で、「発言は全く不適切で、女性の気持ちを傷つけたことは申し訳なく、心からおわびする」と陳謝した。

■ 「女性は産む機械」発言

 柳沢氏は27日に松江市で開かれた自民党県議員の決起集会で、人口減少と少子化問題について話す中、 「女性は15歳から50歳までが出産をして下さる年齢。『産む機械、装置の数』が決まっちゃったと。その役目の人が、一人頭で頑張ってもらうしかない」と発言した。

 柳沢氏の失言以前に、安倍内閣ではスキャンダルが原因で、閣僚2人が12月、辞任に至っている。毎日新聞が週末に実施し29日付で発表した最新の世論調査によると、安倍内閣の支持率はさらに6%下がり、40%となった。一方、不支持率は6%上昇し、36%となった。

 しかし、7月の参院選での勝利を目指す民主党の支持率は自民党よりもさらに低いことが示された。民主党小沢代表は29日の代表質問で、所得の「格差是正」を筆頭課題にあげ、「政治は生活。社会的、経済的に弱い人のために存在する」と発言した。経済協力開発機構(OECD)は2006年、かつて「階級」のなかった日本社会が、貧富の差の拡大で脅かされていると警告した。

 写真は29日、衆院本会議で小沢一郎氏の話に耳を傾ける安倍晋三首相と麻生太郎外相。(c)AFP/Yoshikazu TSUNO