【バグダッド/イラク 27日 AFP】民主党出身で新任のナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)米下院議長(66)は26日、イラクの首都バグダッド(Baghdad)の電撃訪問。ラク政府首脳に対して、深まる宗派間抗争に終止符を打つため、政治的解決を模索するよう求めた。

 一方で、米国、イラン両政府は、宗派間抗争の解消の支援策として、米軍によるイラク国内のイラン工作員の身柄拘束と殺害の許可を打ち出した。両国政府による首都バグダッドの治安強化の努力にもかかわらず、26日には市内のペットを扱うマーケットで発生した爆弾テロにより、15人が死亡している。

■ロペシ氏、「イラク国内の治安は、イラク自身が責任を負う」と主張

 初の女性下院議長とり、強い反戦の姿勢で知られているペロシ議長は、民主党議員数人を連れだってバグダッドを訪問した。米国で下院議長の役職は、大統領、副大統領次ぐ権限を持つ。

 ペロシ議長は、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領の進めるイラク政策に反対を唱える民主党の中心的役割を担っている。ブッシュ大統領は反対陣営に対し、新イラク政策の「推移を見守って欲しい」と支持を求めている。

 ヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相との会談で、ペロシ議長はイラク政府に対し、「宗派間抗争の解消は、米軍の増派に頼るのではなく、イラク政府みずからが政治的解決を模索すべき」と主張をした。

 ペロシ議長率いる代表団は会見後の声明で「イラク政府が、異なる社会的基盤を持つ共同体の間に存在する相違点を解決するため、憲法を改正するなどして、必要な政治的和解を一刻も早く行うことが、宗派間抗争の解消する可能性を高めることとなる」と発表。イラク国内の治安について「同国政府が、主要な責任を負う」との見解を、代表団は会談で強調したという。

 また声明では、「米軍は戦闘の任務から、早急に訓練、テロ対策、警備、および国境管理などの任務に移行すべきとの見解を代表団は持っている」とも述べている。

 マリキ首相はこれに対し、イラク政府が「現在米軍が行っている治安維持の任務を引き継ぐ」との姿勢を明言したが、一方で、米国が「訓練と、新式の装備の供与を急ぐよう求める」と声明で発表した。

■対宗派間抗争へ強硬姿勢を示すが、「イランとの戦争はない」とブッシュ大統領

 一方、ブッシュ大統領は同日、「イラク国民や米軍に危害を加える勢力に立ち向かう命令を下した」と発表。米・イラク両国は、イラク領内のイラン工作員への新たな強硬姿勢を明らかにしている。

 ニコラス・バーンズ(Nicholas Burns)政治担当国務次官は、米国政府が、イランがイラク国内のシーア派勢力への支援を続けていることに対して、「これを明確に危険視している」と話す。「米国は、イラク領内で準軍事行動を行うイラン工作員を追及する当然の権利を持つ」とバーンズ次官は報道陣に語っている。

イランは、イラク国内のシーア派勢力に洗練された簡易爆発物製造の技術などを供与して、米軍を攻撃させているとされる。

 米上院は26日、ジョージ・ケーシー(George Casey)将軍の後任となるイラク駐留司令官が、デービッド・ペトラウス(David Petraeus)陸軍中将となることを承認したが、ペトラウス陸軍中将と会談したブッシュ大統領は、「これにより米国がイランとの戦争に発展するという考えは誤りである」という考えを示している。

 米・イラク両国政府は、新たな治安維持の目標が宗派間抗争にかかわる民兵勢力のせん滅にあり、その最大の目的はシーア派の対米強硬派指導者ムクタダ・サドル(Moqtada al-Sadr)師の率いる武装組織「マハディ軍(Mahdi Army)」の解体にあることを強調している。(c)AFP

 写真はワシントンD.C.で24日、議会に出席したロペシ下院議長。(c)AFP/MANNIE GARCIA