【リオデジャネイロ/ブラジル 25日 AFP】パリ、ミラノ、NY同様に、ブラジルのリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)でも1月14日から6日間にわたってリオ・ファッションウィーク(Rio Fashion Week)が開催された。その華々しい世界から一歩離れた場所では、リオに住む売春婦たちが自身で立ち上げたブランドのファッションショーを開催した。

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華麗なリオ・ファッションウィークから程遠い売春婦たちが、自分たちで立ち上げたブランドのファッションショーを開催した。ランウェイが設置されたのは、時間決めで宿泊・休憩できるモーテルの正面だ。

彼女たちのブランド『ダスプ(Daspu)』は、元売春婦のガブリエル・レイテ(Gabriel Leite)が発案したもの。ガブリエルは、現在エイズ予防と市内に住む売春婦4500人の保護の為に活動を続けるNGO『ダヴィダ(Davida)』の代表を務めている。

■インタビュー:ガブリエル・レイテ

「私は今とても幸せです。なぜなら、これは政治的戦いでもあるからです。コレクションによって、リオの風俗街に人々が集まります。売春婦たちは自分をさらけ出すことを全く恥じていませんよ。私たちがファッションに対して抱いているアイデアが、ブランドの中には表現されています」

コレクションの売り上げは、働く売春婦たちに臨時の収入をもたらし、職業のリタイアやフルタイム職への転身へとつながる。

『ダスプ』のトップモデル、ジェーン・ルチア・ダ・シルヴァ・エリ(Jane Lucia da Silva Ely)は、売春婦として15年間働いてきた。HIV陽性者であり、3人の子を持つ母でもある彼女は、ブランド設立時に喜んでモデルを引き受けたたった1人の人物だ。設立から2年の時が経ち、今では多くの同僚が彼女に加わりモデルとして活躍している。

■インタビュー:ジェーン・ルチア・ダ・シルヴァ・エリ

「ブランドを開始してから長時間が経過した訳ではありませんが、ショーによる成果は既に出ていますね。最初はたった1人しかモデルがいませんでしたが、今では協力を申し出てくれる人がいます。現在彼女たちは‘私は売春婦という仕事に誇りをもっている’と言っています。これは、素晴らしいことです」


‘プータ・アルテ(Puta Arte、売春婦による芸術)’と題された最新コレクションでは、32人の女性がモデルとして登場した。ランウェイには、トゥールーズ・ロートレック(Toulouse Lautrec)やパブロ・ピカソ((PabloPicasso)といった売春婦を描いた画家の作品にオマージュを捧げた服が登場した。

型破りなコレクションだが、ショー会場には確実に素晴らしい時間が流れていた。

■インタビュー:会場を訪れた女性

「今回のショーから、新しい何かを学ぶことができました。また、リオ・ファッションウィークのように一定の基準にはまることがない女性たちがモデルとして登場していることも非常に興味深かったですね」

『ダスプ』は、彼女たちの自尊心を守る為だけのものではない。ブランドの目的は、売上にもある。Tシャツは既に海外の店舗で販売されている。また、ランジェリーコレクションも、来春からパリの店頭に並ぶ予定だ。(c)AFP