【イスタンブール/トルコ 22日 AFP】イスタンブールで起きたアルメニア系ジャーナリストのフラント・ディンク(Hrant Dink)氏(53)殺害事件で、20日夜に逮捕された17歳の無職の少年が犯行を自供した。少年が逮捕された黒海の港湾都市サムスン(Samsun)の主任検察官が21日、明らかにした。

■「後悔していない」と容疑者の少年

 殺害の動機については、「ディンク氏がトルコを侮辱したから」と報じられている。CNNのトルコ支局は、「ディンク氏の『私はトルコ出身だが、トルコ人の血は汚れている』とのネット上の記述を見て、殺害を決意した。金曜礼拝のあとで彼を撃ち殺した。後悔はしていない」との容疑者の供述内容を報じた。

 ディンク氏は、トルコではタブー視されているオスマン帝国下のアルメニア人大虐殺(1915-17)について、「ジェノサイドだ」と主張。こうした言論が国家侮辱罪にあたるとして起訴され、2005年に執行猶予付きの6か月の禁固刑を受けている。

 その後、民族主義者らから「裏切り者」の烙印を押された同氏は、最近のアルメニア系週刊紙アゴス(Agos)に、「脅迫を受けている」と書いていた。

 容疑者の少年は、高校を中退。過激な民族主義団体に属していたとの報道もある。少年は、イスタンブールから故郷のトラブゾン(Trabzon)に向かうバスに乗っているところを逮捕された。警察当局は犯行現場近くの防犯カメラに写った容疑者の写真を公開、これを見た父親が通報したという。

 警察当局によると、殺害に関与したとされる別の9人もトラブゾンで拘束された。うち4人は、少年とともに、さらなる取り調べのためイスタンブールに移送された。

 写真は20日、サムスンの警察署から連行される容疑者の少年(左)(c)AFP/ANATOLIAN AGENCY