議会選挙投票始まる、争点はコソボ自治州 - セルビア
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【ベオグラード/セルビア 21日 AFP】セルビアで21日、議会選挙の投票が始まった。セルビア国民は、コソボ(Kosovo)自治州の扱いをめぐり、親欧米を掲げる改革派と極右民族政党の強硬派の選択を迫られる。
■選挙結果により左右されるコソボ自治州の独立問題
1990年代の旧ユーゴスラビアの崩壊後、最もデリケートな問題として残されているコソボ自治州の独立問題に、この投票が与える影響は大きい。
コソボ自治州はアルバニア系住民が多数を占め、1999年から現在まで国連(UN)の監視下にある。自治州の住民200万人のうち90%を占めるアルバニア系住民は、独立以外は受け入れない姿勢を強めている。一方、セルビア政府は、断固としてコソボの独立を受け入れない姿勢だが、自治権拡大の提案を行っている。
国連は選挙の5日後にマルッティ・アハティサーリ(Martti Ahtisaari)特使を中心とする代表団を送り込みコソボ自治州の将来像を描く提案を行う予定だ。
アハティサーリ特使は2006年、9か月にわたりセルビア政府とコソボ自治州政府の政治プロセスを模索してきたが、具体的な成果の得られぬまま現在に至っている。今回の選挙で、極右民族政党のセルビア急進党(Serbian Radical Party、SRS)の選挙による躍進の可能性を考慮し、選挙直後に同州をめぐる提案を行う選択をした。
■事前調査では、過半数割れ、連立政権となるのは必至
コソボ自治州のアルバニア系住民を除外したセルビアの人口は660万人。各選挙区の有権者は、20にのぼる政党から議員250人を選出する。
この選挙では、戦争犯罪容疑者Vojislav Seselj氏が率いるセルビア急進党、ボリス・タディッチ(Boris Tadic)大統領率いる親欧米の民主党(Democratic Party、DS)および、ボイスラブ・コシュトニツァ(Vojislav Kostunica)首相の率いる保守系セルビア民主党(Democratic Party of Serbia、DSS)の三つどもえの戦いが予想されている。
「今回の選挙は、時代遅れで保守的、そして無能な政治に決別を告げ、諸問題を解決し、セルビアを欧州連合に導く戦略を選択する大きな転換点となろう」と民主党のタディッチ大統領は語る。
しかし、世論調査によると、どの党も単独で過半数を獲得して政権を発足することは不可能とされ、民主党のタディッチ大統領とセルビア民主党のコシュトニツァ首相が過去から引きずる相違点に目をつぶり、連立政権を樹立するとみられている。
多くの有権者は、政争と1990年代の戦争とその後の混乱で遅れた共産主義からの移行に嫌気を感じで棄権すると予想されている。
故ソロボダン・ミロシェビッチ(Slobodan Milosevic)元大統領の追放からから6年以上も経て、今なお経済の不振にあえぐセルビアは隣国から遅れを取っている。セルビアの平均月給は250ユーロ(約3万9000円)にとどまる。
■将来的な欧州連合加盟への道は開かれるか
今回の選挙は、モンテネグロが住民による歴史的な国民投票で平和的に旧ユーゴスラビアを離脱を果たした2006年以来となる。
セルビアの悲願である将来的な欧州連合(EU)への加盟は政府による戦争犯罪解明の協力の姿勢にかかわっている。
具体的な協力としては、ジェノサイド(大量虐殺)にかかわったとされる逃亡中のラトコ・ムラジッチ(Ratko Mladic)将軍の身柄拘束などが挙げられる。
外国からの500人規模の監視団と国内の5000人規模の監視団が投票を見守る。非公式の仮集計は21日の夜半までに得られることとなるが、最終的な結果は25日に公表される。
写真はベオグラードで、コシュトニツァ首相(右)とタディッチ大統領(左)のポスターの前を行く市民。(2006年1月20日撮影)(c)AFP/ANDREJ ISAKOVIC
■選挙結果により左右されるコソボ自治州の独立問題
1990年代の旧ユーゴスラビアの崩壊後、最もデリケートな問題として残されているコソボ自治州の独立問題に、この投票が与える影響は大きい。
コソボ自治州はアルバニア系住民が多数を占め、1999年から現在まで国連(UN)の監視下にある。自治州の住民200万人のうち90%を占めるアルバニア系住民は、独立以外は受け入れない姿勢を強めている。一方、セルビア政府は、断固としてコソボの独立を受け入れない姿勢だが、自治権拡大の提案を行っている。
国連は選挙の5日後にマルッティ・アハティサーリ(Martti Ahtisaari)特使を中心とする代表団を送り込みコソボ自治州の将来像を描く提案を行う予定だ。
アハティサーリ特使は2006年、9か月にわたりセルビア政府とコソボ自治州政府の政治プロセスを模索してきたが、具体的な成果の得られぬまま現在に至っている。今回の選挙で、極右民族政党のセルビア急進党(Serbian Radical Party、SRS)の選挙による躍進の可能性を考慮し、選挙直後に同州をめぐる提案を行う選択をした。
■事前調査では、過半数割れ、連立政権となるのは必至
コソボ自治州のアルバニア系住民を除外したセルビアの人口は660万人。各選挙区の有権者は、20にのぼる政党から議員250人を選出する。
この選挙では、戦争犯罪容疑者Vojislav Seselj氏が率いるセルビア急進党、ボリス・タディッチ(Boris Tadic)大統領率いる親欧米の民主党(Democratic Party、DS)および、ボイスラブ・コシュトニツァ(Vojislav Kostunica)首相の率いる保守系セルビア民主党(Democratic Party of Serbia、DSS)の三つどもえの戦いが予想されている。
「今回の選挙は、時代遅れで保守的、そして無能な政治に決別を告げ、諸問題を解決し、セルビアを欧州連合に導く戦略を選択する大きな転換点となろう」と民主党のタディッチ大統領は語る。
しかし、世論調査によると、どの党も単独で過半数を獲得して政権を発足することは不可能とされ、民主党のタディッチ大統領とセルビア民主党のコシュトニツァ首相が過去から引きずる相違点に目をつぶり、連立政権を樹立するとみられている。
多くの有権者は、政争と1990年代の戦争とその後の混乱で遅れた共産主義からの移行に嫌気を感じで棄権すると予想されている。
故ソロボダン・ミロシェビッチ(Slobodan Milosevic)元大統領の追放からから6年以上も経て、今なお経済の不振にあえぐセルビアは隣国から遅れを取っている。セルビアの平均月給は250ユーロ(約3万9000円)にとどまる。
■将来的な欧州連合加盟への道は開かれるか
今回の選挙は、モンテネグロが住民による歴史的な国民投票で平和的に旧ユーゴスラビアを離脱を果たした2006年以来となる。
セルビアの悲願である将来的な欧州連合(EU)への加盟は政府による戦争犯罪解明の協力の姿勢にかかわっている。
具体的な協力としては、ジェノサイド(大量虐殺)にかかわったとされる逃亡中のラトコ・ムラジッチ(Ratko Mladic)将軍の身柄拘束などが挙げられる。
外国からの500人規模の監視団と国内の5000人規模の監視団が投票を見守る。非公式の仮集計は21日の夜半までに得られることとなるが、最終的な結果は25日に公表される。
写真はベオグラードで、コシュトニツァ首相(右)とタディッチ大統領(左)のポスターの前を行く市民。(2006年1月20日撮影)(c)AFP/ANDREJ ISAKOVIC