【台北/台湾 14日 AFP】力霸(Rebar)グループ傘下の中華商業銀行(The Chinese Bank)の取り付け騒ぎで、この数日間で預金解約額は500億台湾ドル(約1830億円)にのぼった。

 専門家らは台湾が金融危機に陥る可能性は低いと見ているが、取り付け騒ぎにより、政府の無策と金融機関への監視の甘さが露呈し、国民の信頼を損ねたと指摘する。

 金融監督管理委員会(金融庁)の施俊吉(Shih Jun-ji)主任委員(担当相)は12日、取り付け騒ぎで広まった「社会不安の責任」を取り辞任した。政府は信頼回復に努めている。

■政府は全額を保証するも、預金者は銀行に殺到

 力霸グループ傘下の中国力霸公司(China Rebar)と嘉新食品化繊公司(Chia Hsin Food and Synthetic Fiber)は5日、会社更生と保全処分を申請したと発表した。政府は同行預金の全額保護を保証したが、預金者は全国35の中華商業銀行の支店に殺到した。

 金融監督管理委員会は6日、同行を接収して政府の管理下に置き、検察は力霸グループ傘下数十社に対する捜査を開始した。グループの創業者、王又曽(Wang You-theng)氏は4人目の妻とともに上海に逃亡している。

 予備捜査によると、グループ傘下の企業の多くが銀行の融資を受けるための文書の偽造などを行っていた。不正行為に関与した容疑で、創業者の王氏の7人の息子の1人であるWang Ling-yi氏と王氏の兄弟のWang Shih-chan氏の身柄が拘束された。2人は同グループの役員。

 写真は14日、台北市内の中華商業銀行の看板。(c)AFP/PATRICK LIN