【ジュネーブ/スイス 9日 AFP】世界貿易機関(WTO)は9日、日本が米国のアンチダンピング手続き(ゼロイング)をWTO協定違反として2006年10月に上訴していた問題について、日本の主張を認めた。

 米国は、ダンピングの決定に際し、輸出取引価格が国内価格よりも高い場合、その価格差を「マイナス」ではなく「ゼロ」とみなす「ゼロイング」と呼ばれる計算ルールを採用している。しかし、このルールでは、大半の製品で国内価格より輸入価格が高いケースにおいても、1つでも国内価格より安い商品があった場合、その価格差は相殺されず、トータルのマージンはマイナスとなり、ダンピングが行われたとみなされる。

 WTO上級委員会の9日の判断は、「初回調査時」におけるゼロイングをWTO協定違反と認定した第一審の判断を支持したほか、「定期見直し時」についても違反とする日本の主張が認められた形となった。

 外務省は上級委の決定について「不当なアンチ・ダンピング税賦課による貿易の制限は容認されないことを明確にするもの」とし、「ルールに基づく多角的自由貿易の維持・発展に資するものとして高く評価する」と歓迎するコメントを発表した。

 米国の「ゼロイング」手法は批判も多く、欧州連合(EU)やカナダも、WTOに別途提訴している。(c)AFP/KAZUHIRO NOGI