【セブ/フィリピン 10日 AFP】東南アジア諸国連合(Association of South-East Asian Nations、ASEAN)第12回サミットが10日、フィリピン中部のセブ(Cebu)で開幕した。会議ではエネルギー安全保障問題が中心議題となり、原油の中東依存からの脱却とエネルギーの低価格・安定供給を目指した代替エネルギー開発計画が話し合われるもようだが、専門家からは「代替案の実現には数十年かかる」との声が上がっている。

 エネルギーの「安全保障」をめぐっては、エネルギー効率の向上と石油の輸入依存度の低下を目指した戦略を練る必要にせまられている。具体的には、ガスパイプラインの共有、大豆やトウモロコシなどを原料とするバイオ燃料などの実用化などがわだいにのぼるものと見られる。

 日本も石炭を合成潤滑油に転換する技術を供与することで、ASEAN諸国に協力する構え。バイオ燃料の中で最も一般的なものは、砂糖またはトウモロコシを主原料とするエタノールで、主にガソリンの添加剤として使用される。なお、バイオディーゼルは、大豆を主原料とする。
 ただし、どの解決策にも障壁があり、実現がままならないというのが現状である。

 例えば、「石油の共同備蓄」という比較的単純な提案については、備蓄場所や管理責任をめぐり各国の意見調整がついていない。米エネルギーコンサルタント会社であるPurvin & Gertz社のVictor Shum氏も、「石油の備蓄には莫大なコストがかかり、管理も難しい。各国は供給方法から安全保障に至るまで、多岐にわたる問題について合意する必要がある」と、実現性に疑問を投げかける。

 米マグロウヒル・グループのエネルギー商品市況情報会社であるプラッツ(Platts)社のDave Ernsberger氏は、ガスパイプラインの共有では「市場価格の設定に向けた各国の合意形成」が最大の障壁になると見る。「ASEAN諸国は、互いの協力なくしてエネルギー危機を回避することは不可能であることを充分認識しているはずだが・・・」とErnsberger氏は語った。

 バイオ燃料については、限定的・短期的な効果しかもたらさないと見る専門家が多い。

 ハワイ大学東西センター(East-West Center)のエネルギー専門家であるKang Wu氏は、ASEAN地域の交通手段が石油に頼っている限り、同地域のガソリン・ディーゼル依存は今後も続くだろうと分析する。

 エタノールの2005年度の世界における生産量は、5年前の2倍以上である462億リットルにのぼった。ただし、シンガポールのシンクタンクである太平洋経済協力会議(Pacific Economic Cooperation Council)によると、世界の輸送機関でエタノールが使用されている割合は2%未満であるという。

 写真は10日、ASEAN会議に出席のためセブの国際空港に到着した中国の李肇星(Li Zhaoxing)外相。(c)AFP/HOANG DINH Nam