【ナイロビ/ケニア 3日 AFP】2日、ソマリアの反政府勢力「イスラム法廷連合(Union of Islamic Courts、UIC)」を追撃していたエチオピアのヘリコプターが、誤ってケニアの国境検問所を空爆、ケニアの戦闘機が緊急発進する事態になった。

 匿名のケニア警察関係者によると、ケニア国境から3キロに位置するソマリアの町Dhobleyを攻撃に向かっていた4機のヘリコプターが、誤ってケニアのHar Harの国境の検問所を空爆したという。

 「午後4時30分頃、Dohbleyを空爆しようとしたヘリコプター4機が、誤って国境のケニア側にあるHar Harに爆弾を3発投下し、さらに折り返して、爆弾3発を投下した」と警察関係者は説明した。

 この攻撃を受けて、ケニア軍は、戦闘機を緊急発進させた。地上の死傷者や被害の状況についてはまだ分かっていない。

■ 国境は厳戒態勢

 ケニア政府は、1日エチオピアの支援を受けたソマリア暫定政府に追われたイスラム勢力が、ケニアへの逃亡を図らないよう700キロに渡るソマリアとの国境警備を強化している。

 またムワイ・キバキ(Mwai Kibaki)ケニア大統領はアブドラヒ・ユスフ(Abdullahi Yusuf)ソマリア大統領に対し、イスラム反政府勢力との対話を継続するよう求めた。一方、最後の拠点を制圧された後イスラム反政府勢力は、戦闘を続けていくと宣言している。

 ケニア大統領府は「ケニアは地域情勢を不安定にさせる勢力の避難先として利用されるつもりはない」として、ソマリア国境の警備を強化したとする声明を発表した。

 また、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)はソマリアから約5万人の難民が周辺諸国に流出する可能性があると警告。戦闘を逃れた数千人の避難民がDhobleyで身動きの取れない状態だとしているが、ケニア警察は治安上の問題から難民らを国内に受け入れることはできないと述べている。

 ケニア警察は、約2週間に及ぶ戦闘からケニアに逃亡を図った8人のイスラム法廷連合メンバーを捜索を行っている。

 ケニアは2004年にソマリア暫定政府の樹立を支援しており、事態の沈静化を目指しナイロビで4日に開催される協議にイスラム法廷連合が出席すると外交筋が伝えた。

 写真は、モガディシオ(Mogadishu)近郊に避難した国内避難民の女性。2007年1月1日撮影。(c)AFP/Peter Delarue