【4月16日 AFP】(写真追加)米国で、20年以上前に根絶されたはずのトコジラミ(南京虫)が携帯電話、パソコンのキーボード、マットレスなどで発生する被害が相次いで報告され、米衛生当局が警戒を強めている。

 米環境保護局(Environmental Protection AgencyEPA)は、15-16日に初の「National Bed Bug Summit(全米南京虫サミット)」を開催。会議では、南京虫の被害が急速に拡大しており、あらゆる種類の公共の建物・空間で確認されているとの報告がなされた。

 ケンタッキー大学(University of Kentucky)の昆虫学者、マイク・ポッター(Mike Potter)教授は、南京虫は今や「われわれの世代の最も困難な問題」をもたらす存在になっていると指摘した。

 害虫駆除会社Arrow Exterminatingのマイク・ドイッチュ(Mike Deutsch)氏も、ランプ台や時計付きラジオ、テレビ、本の中などで南京虫の繁殖が確認されていることを指摘、「このような例は今まではなかった」と話した。

 南京虫はホテルやレストランでも確認されており、米国内で大きな問題となっている。いったんはほぼ根絶した南京虫が再び繁殖している背景には、米国民の海外旅行やホテル滞在が増えたことが挙げられる。スーツケースにまぎれて米国に流入してくるのだという。

 また、環境に悪影響を与えるとしてDDTなどの強力な害虫駆除剤が規制されたことも、繁殖原因の1つだとされる。現在、南京虫に効果がある駆除剤に対しても、耐性が出てきている点が指摘されている。(c)AFP/Jean-Louis Santini