【11月28日 AFP】妊婦検診で放射線スキャンが用いられる機会が、ここ10年で2倍以上に増えているとの研究結果が27日、米シカゴ(Chicago)で開かれた北米放射線学会(Radiological Society of North America)の年次総会で発表された。

 研究チームを率いた米ロードアイランド(Rhode Island)州にあるブラウン大学(Brown University)のElizabeth Lazarus医師は「10年前に比べ、妊婦が検診で放射線を浴びる量は2倍になった。概して放射線レベルは低いが、胎児の成長にわずかながら影響を与える危険性がある」と警告している。

 研究チームは、過去10年に妊婦に対して行われたさまざまな種類の画像診断を調査した。その結果1997-2006年の間に、出生率はわずか7%しか増加していないにもかかわらず、画像診断を受ける妊婦は121%も増加していることが判明。

 最も増えたのはCT(コンピューター断層撮影)スキャンで、25%増加している。この検査は脳内出血や肺血栓、虫垂炎など命にかかわる疾病の発見に利用できるが、ほかの放射線検査より多量の放射線が使用される。妊婦や胎児が放射線を浴びた場合、その細胞に悪影響を受ける恐れがある。

 Lazarus医師は、画像診断の利用増加の要因として、異常を診断する新画像技術が発達したことや、病院や保険業者が迅速な診断を求めている実態を指摘。「CTスキャンは妊婦にとって安全で効果的な検査にもなりうるが、少なくともほかの検査を検討する必要がある。妊婦は医師に、胎児が放射線を浴びずにすむ画像診断や検査方法が、ほかにないか聞くべきだ」と話している。(c)AFP