【11月7日 AFP】2-5歳の男児は、害がないとされるアニメや、ボクシング、ラグビーなどのスポーツをテレビで見ると、将来、攻撃的になる傾向があるとの研究結果が、5日発行の米の科学誌ピィディアトリクス(Pediatrics、「小児科学」の意)に発表された。

 研究を行ったのは、米シアトル小児病院研究所(Seattle Children's Hospital Research Institute)のディミトリ・クリスタキス(Dimitri Christakis)医師が率いる研究チーム。

 研究チームは40年にわたり、米国の8000世帯で2-5歳の男児184人と女児146人を対象に、見ていた番組と後にとった行動を調査。その結果、暴力的なテレビを見る頻度の高い就学前の子どもほど、就学後、攻撃的に行動したり、言うことを聞かなかったり、問題を起こしたりといった反社会的行動をとる確率が高くなることが分かった。また、最も影響を与えるのはアニメだということも判明している。

 一方、就学前の女児に関しては、暴力的番組を見ても、非暴力的番組や教育的番組を見ても、後に攻撃的な振る舞いをしないという。

 クリスタキス医師は、その理由を次のように説明している。「就学前の子どもは成人のように空想と現実を区別しない。彼らにとってはすべてが現実なのだ。アニメの暴力シーンは面白くすることが目的で、現実的な結論なしに暴力を描く。人間が吹き飛ばされても、一瞬画面が黒くなるだけで、すぐに元に戻る。これは現実世界で暴力が与える影響について、間違ったメッセージを伝えている」

 暴力的と分類された番組は『パワー・レンジャー(Power Rangers)』や『スター・ウォーズ(Star Wars)』、アメリカンフットボールの試合など。一方『トイ・ストーリー(Toy Story)』や『フリントストーン(Flintstones)』などは、暴力的ではないと分類された。『セサミストリート(Sesame Street)』や『マジックスクールバス(Magic School Bus)』などは教育的番組とされた。

 クリスタキス医師は「単にテレビを見る見ないの問題ではない。子どもが何を見るかの問題だ」と指摘。「親は子どもが見る番組には十分注意を払ってほしい。親が注意して選んだテレビを見れば害はない。逆に注意しなければ、子どもの振る舞いに悪影響を及ぼす危険がともなう」と訴えている。(c)AFP