【1月4日 AFP】スウェーデンの首都ストックホルム(Stockholm)のストックホルム中央駅(Stockholm Central Station)構内を通行する利用客が放出する体温を、近くに新しく建設されるオフィスビルの暖房に利用する計画が2日、発表された。

 ストックホルム中央駅の利用客は1日あたり約25万人に上る。列車や地下鉄に乗り遅れないよう駆け込む人も多く、また、駅構内には商店が多数あることから買い物に訪れる人も多い。そこでスウェーデン国営の財産管理会社Jernhusetでは、こうした利用客の放出する熱に目を付けた。

「だれでも熱を放出します。熱は実際、排除するのが極めて難しい。窓を開けて熱を無駄にする代りに、換気装置を使って、その熱を利用したいと考えています」と話すのはJernhusetのKarl Sundholm氏。

 同氏によると、体温を利用したこの暖房システムの仕組みは、換気装置を使って集めた熱で水を温め、温めた水をポンプとパイプを使って新しいオフィスビルに送るというもの。小規模なホテルや数軒の商店も入居するオフィスビルは、2010年上旬までに完成予定。

「これは古い技術ですが、新しい方法で利用されます。単なるパイプ、水、ポンプにすぎませんが、われわれは、ほかに誰かがこの技術をこうした方法でかつて利用したと聞いたことがありません」とSundholm氏は計画の独自性を強調。Jernhusetでは、新しいオフィスビルの暖房にかかる費用を、最大で20%削減できると見込んでいる。

 Sundholm氏は、この暖房システムには手間も費用も対してかからないと見込んでいる。必要なポンプとパイプの敷設にかかる費用は、約20万クローナ(約350万円)程だという。(c)AFP