【3月14日 AFP】世界自然保護基金(World Wildlife FundWWF)は12日、気候変動や北極の急速な温暖化への対策を緊急にとらなければ、北極からホッキョクグマは絶滅すると警告した

 ノルウェー北部のトロムソ(Tromsoe)で17日から、米国、ロシア、カナダ、デンマーク(グリーンランドを含む)、ノルウェーの北極海沿岸5か国によるホッキョクグマの保護対策に関する協議が開かれる。これに先立ち、WWFのホッキョクグマの専門家であるGeoff York氏はオスロ(Oslo)で、「海氷のない所にホッキョクグマはいない。それほど単純なことだ」と説明した。 

 北極海沿岸5か国は1973年、「ホッキョクグマとその生息地の保護に関する国際協定」に調印しているが、WWFは、5か国には温室効果ガスの削減努力を主導する義務があると主張。WWFノルウェー支部長のRasmus Hansson氏は、「5か国のうちの数か国は、国際的な気候変動対策の進展において、非常に重要な役割を担っている」と指摘した。また、「地球温暖化は人間が作り出した問題。よって、人間が解決しなければならない」との認識を示した。

 北極圏には、推定2万-2万5000頭のホッキョクグマが生息しているとされているが、米地質調査所(US Geological SurveyUSGS)や国際自然保護連合(International Union for the Conservation of NatureIUCN)の最新報告では、地球温暖化により、50年後には現在の3分の2以上のホッキョクグマが姿を消しているという。また、2020年夏季までに、ホッキョクグマの猟場となる氷が北極海から消滅するとの予測も複数ある。

 WWFでは、ホッキョクグマが現在直面している問題は、温暖化が生態系に及ぼす影響の指標となるもので、将来、人類にも深刻な結果がもたらされることを意味すると警告。Hansson氏も、「ホッキョクグマが深刻な危機に瀕したときには、われわれ人間も危機に向かっているということだ」と語っている。(c)AFP/Pierre-Henry Deshayes