【5月22日 AFP】欧州連合(EU)は20日、北アフリカのチュニジア、モロッコ、モーリタニアがEUの資金を使って移民を砂漠に遺棄しているとの国際報道団体の指摘内容を認めた。

 仏紙ルモンドや米紙ワシントン・ポストが連なる調査報道団体「ライトハウス・リポーツ(Lighthouse Reports)」は広範な調査の結果、EUが「大規模な強制退去システム」と深刻な権利侵害に加担していると批判した。

 報告書は「欧州は移民がEUに来るのを阻止するために、北アフリカ諸国において毎年何万人もの黒人を砂漠や辺境に置き去りにする秘密作戦を支援し、資金提供し、直接関与している」と指摘。そうした作戦は「EUや欧州諸国から提供された資金、車両、装備、情報、治安部隊に支えられ実行されている」と述べている。

 欧州委員会(European Commission)のエリック・マメル(Eric Mamer)報道官は、この調査に関する報道陣の質問に対し、「これは難しい状況だ。事態は急速に動いているが、われわれは引き続き対処していく」と述べた。

 報告書によると、チュニジア、モロッコ、モーリタニアで難民や移民は「肌の色に基づき拘束され、バスに乗せられ、何もない場所、しばしば乾燥した砂漠地帯に連れて行かれた」。水も食料も与えられなかったという。

 中には国境地帯に連行され、「当局によって人身売買業者やギャングに売られた」人々もいるという。

 EUはチュニジア、モロッコ、モーリタニアと、欧州への非正規移民の流入を阻止するための資金援助協定を結んでいる。

 最近の合意で、EUはチュニジアに1億5000万ユーロ(約250億円)を提供し、追加支援も約束した。また、モーリタニアには2億1000万ユーロ(約350億円)、モロッコには6億2400万ユーロ(約1060億円)を支援する協定を結んでいる。(c)AFP