【5月16日 AFP】スロバキアのロベルト・フィツォ(Robert Fico)首相(59)が15日、中部ハンドロバ(Handlova)で銃撃された。同国政府によると、フィツォ氏は数回撃たれて負傷し、深刻な容体。現場で取り押さえられた容疑者は、71歳の作家だとされる。

 フィツォ氏が搬送された中部バンスカービストリツァ(Banska Bystrica)の病院で会見したマトゥーシュ・シュタイエシュトク(Matus Sutaj Estok)内相は「首相の容体は深刻で、生命が危険な状態。まだ手術室にいる」と語った。また、容疑者の身元について、メディアの報道通り71歳の作家だと認めた。

 フィツォ氏はハンドロバで政府の会合に出席した後に銃撃された。白髪の男が数回発砲した後、地面に押さえつけられ、手錠をかけられる様子が目撃されている。

 報道によると、容疑者は中部レビツェ(Levice)市在住の作家で、「DUHA(虹)文学クラブ」の創設者。3冊の詩集を出版しており、スロバキア作家協会の会員だという。現地メディアは氏名も報じている。

 スロバキア作家協会はフェイスブックの公式ページで、容疑者が2015年から会員であることを認めた。また銃撃犯だと確認されれば、「この卑劣な人物の会員資格を直ちに取り消す」と付け加えた。

 容疑者の息子はスロバキアのニュースサイト「aktuality.sk」に対し、「父が何を考え、何を計画し、なぜこのようなことが起きたのか、まったく分からない」と語った。容疑者は合法的に登録して銃を所有していたという。

 また、容疑者はフィツォ氏を憎んでいたのかという質問に対し、息子は 「父は彼(フィツォ氏)に投票しなかった。それしか言えない」と答えた。

 容疑者は8年前にインターネットに投稿した動画で「世界には暴力と武器があふれている。人々は頭がおかしくなっているようだ」と述べていた。

 また、この動画の中で移民や「憎悪と過激主義」への懸念に触れ、欧州各国の政府には「この混沌(こんとん)に代えて打つ手がない」とも話していた。さらにレビツェで「暴力反対運動」という団体を立ち上げたとも述べていた。

 この団体はフェイスブックで「社会における暴力のまん延を防ぐことを目的とする新興政党。欧州における戦争と憎悪のまん延を防ぐ」と自らを定義している。(c)AFP