【5月13日 AFP】ロシア軍が10日に地上攻撃を開始したウクライナ東部ハルキウ(Kharkiv)州から、これまでに数千人の住民が避難した。検察当局によると民間人4人の死亡が確認されている。

 オレグ・シネグボウ(Oleg Synegubov)州知事は、ロシアと国境を接する「すべての地域」が「ほぼ24時間、砲火にさらされている」と報告。ボウチャンシク(Vovchansk)やその周辺から6000人近くが避難したとした。

 ロシア軍国防省は11日、同州の五つの集落を占領したと発表。12日にはさらに4か所の集落を占領したとし、「敵の防衛線に深く進入した」と述べた。

 AFP特派員は12日、前線に近い避難場所でボウチャンシク方面から逃れてきた一行に遭遇した。高齢者が多く、口々に「家を離れるつもりはなかった」、前夜は「本当に恐ろしかった」などとうろたえ気味に語った。

 避難者の調整に当たっていた警察幹部は、ボウチャンシク周辺は「常に攻撃され続け」、「街のすべてが破壊されている。爆発、大砲、迫撃砲の音が絶え間なく聞こえてくる。敵は総力を挙げて街を攻撃している」と語った。

 ロシア軍が迫る中、推定500人ほどの市民がまだボウチャンシクに残っている。

 ハルキウ州の警察トップによると、ロシア軍は郊外にいて、街は三方から攻撃されている。

 ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー(Oleksandr Syrsky)総司令官はSNSで、防衛は維持されているが、ハルキウ州の状況は「著しく悪化」していると認めた。

 州都ハルキウ市では、イーホル・テレホフ(Igor Terekhov)市長が「起きている事態は把握しているが、ハルキウ(市内)は落ち着いている。出ていく住民は見かけない」と述べ、同市から避難する理由はないとの見解を示している。

 ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は11日、国境周辺の集落でウクライナ軍が反撃に出ていると発言。「ロシアの攻撃計画の妨害が、現在のわが軍の第一の任務だ。主導権を取り戻さなければならない」と述べ、西側の同盟諸国に対し、武器供与の迅速化を改めて要求した。

 一方、ロシアでは12日、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が軍指導部の改革に着手し、セルゲイ・ショイグ(Sergei Shoigu)国防相を退任させる大統領令を出した。後任にはアンドレイ・ベロウソフ(Andrey Belousov)前第1副首相が就く。(c)AFP/Barbara WOJAZER