【4月29日 AFP】イスラエルの極右の閣僚2人が28日、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)におけるイスラム組織ハマス(Hamas)との戦闘休止協定案に公然と異議を唱え、ハマスのガザ地区最後の拠点とされるラファ(Rafah)を侵攻しなければ、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相政権は存在意義を失うと非難した。

 戦闘休止協定案に異議を唱えたのは、ベツァレル・スモトリッチ(Bezalel Smotrich)財務相と、イスラエル戦時内閣メンバーのベニー・ガンツ(Benny Gantz)前国防相。2人はハマスのせん滅を改めて要請した。

 スモトリッチ氏はX(旧ツイッター)でネタニヤフ氏に対し、「白旗を揚げ、イスラエルの安全保障を回復するためにハマスのせん滅を目的としたラファ侵攻計画を中止するなら、あなたが率いる政府の存在意義は失われる」と主張。

「(仲介国)エジプトの協議内容は屈辱的な降伏だ。人質への死刑判決を意味し、何よりも、イスラエルは国家存亡の危機に直面する」と訴えた。

 ガンツ氏も、自身の党が発表した声明でラファ侵攻を強く要求。

「ラファ侵攻は、ハマスとの長期化した戦闘において重要である」「(ハマスがイスラエルに越境攻撃を仕掛けた昨年)10月7日に政府を率いていた閣僚が(ラファ侵攻を)阻止するとすれば、政府は存続する意義を失うだろう」と主張した。

 ネタニヤフ氏は、150万人以上のパレスチナ人が避難しているラファへの侵攻を表明しているが、人質解放に向けた協定を締結するよう国内外から多大な圧力を受けている。

 AFPの取材に応じたハマスの幹部は、ハマスの代表団が29日にエジプトを訪れ、イスラエル側の提案についての検討結果を伝える予定だと明らかにした。

 米ニュースサイト・アクシオスは、イスラエル政府高官2人の話として、今回の提案では、人質解放後、ガザにおける「持続的な平穏回復」について協議する意向を示していると報道。イスラエル側が紛争終結について話し合う用意があるのを示唆したのは初めてだと伝えている。(c)AFP