【4月29日 AFP】28日に予定されていたサッカー、アフリカ・コンフェデレーションズカップ(2023-24 CAF Confederation Cup)で、モロッコとアルジェリアのクラブがユニホームに描かれた地図をめぐって対立し、前週に続いて2戦連続で試合が中止となった。

 連続で中止になったのは、USMアルジェ(USM Alger、アルジェリア)とRSベルカンヌ(RS Berkane、モロッコ)による準決勝で、アルジェのホームでの第1戦は、ベルカンヌが試合のピッチに姿を現さなかったにもかかわらず、アフリカサッカー連盟(CAF)が3-0でベルカンヌの勝利扱いとしていた。

 問題の発端は初戦を前に、紛争地域である西サハラ(Western Sahara)が含まれたモロッコの地図が描かれたベルカンヌのユニホームを、アルジェリアの税関職員が没収したことだった。その後の第1戦直前、アルジェのスポーティングディレクターが国内ラジオで、ベルカンヌが別のユニホームでプレーすることを拒否したため試合は行われないと明かし、実際にベルカンヌの選手はピッチに現れなかった。

 この日のモロッコでの第2戦ではホームのベルカンヌの選手のみが姿を現し、選手たちがファンにあいさつする中でスタジアムアナウンサーから試合の中止が発表された。国内テレビ局の報道では、アルジェの選手はキックオフ直前にスタジアムを離れたという。

 かつてスペインの植民地だった西サハラは、大部分をモロッコが実効支配しているが、アルジェリアが支援する武装組織「ポリサリオ戦線(Polisario Front)」は地域の独立を目指して領有権を主張している。アルジェリアとモロッコは2021年に国交を断絶したが、この問題も原因の一つだった。

 一方、ベルカンヌの公式ショップではユニホームの売れ行きが好調で、販売業者の代表は「大きな需要がある」とコメント。「地図は3年前から公式デザインの一部だ」と続けた。

 アルジェリアサッカー連盟(FAF)はCAFの裁定を不服とし、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に異議を申し立てている。FAFは、CAFが「政治的メッセージを含んだユニホームを着用したいというモロッコのクラブRSベルカンヌの要請を受け入れた」と主張している。(c)AFP