【1月25日 AFP】フランスの友好国チャドのマハマト・イドリス・デビ(Mahamat Idriss Deby)暫定大統領は24日、ロシアの首都モスクワを訪問した。同国のウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領との会談で、ロシアはチャドの「安定化」に貢献するだろうと述べ、両国の結び付きを歓迎した。

 チャドはサハラ砂漠(Sahara)南縁に広がるサヘル(Sahel)地域におけるフランスの緊密なパートナー。フランスとロシアの間では、ウクライナ紛争をめぐり緊張が高まっている。

 デビ氏は、プーチン氏の招待を受けての訪問を「歴史的」と呼んだ。

 テレビ放映されたプーチン氏との会談では「私は友好国との関係強化を望む友好国、兄弟国、主権国家からここに来た」と述べ、会談が「両国民の利益となる」ことを望んでいると述べた。

 プーチン氏はデビ氏に対し、「あなたが貴国の情勢を安定化させたことをうれしく思う。われわれは、可能な限りこれを支援する」と語り、ロシアはチャドの情勢を「注視している」と付け加えた。

 デビ氏の父は、クーデターで権力を掌握し、チャドを30年間にわたって統治したイドリス・デビ(Idriss Deby Itno)前大統領。2年前、反政府武装勢力との交戦地帯で父が死去したのを受け、デビ氏は軍政トップに就任した。

 フランス軍が2022年8月にマリ、翌23年2月にブルキナファソ、同12月にニジェールからの撤退を余儀なくされた後、チャドはフランスにとってサヘル地域における最後の緊密なパートナーとなっている。

 フランス軍が撤退した3か国は、いずれもロシアに接近している。

 ロシアは中央アフリカやリビアなど、チャド周辺の国々で、民間軍事会社ワグネル(Wagner)という形も含め、強力な存在感を示している。

 フランスは、サヘル地域でワグネルが戦争犯罪を行っていると非難している。(c)AFP