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2008/03/10 21:16

日仏「刺しゅう往復書簡」、パリのサロンで展覧会

英国のエリザベス女王(Queen Elizabeth II)の即位式のときのガウンを修繕する英政府直轄の王宮関連維持管理NPO「ヒストリック・ロイヤルパレス(Historic Royal Palaces)」の修復士サリー・アンドリュー(Sally Andrew)さん(2003年10月6日撮影)。(c)AFP/Martyn HAYHOW

【3月10日 AFP】小倉ゆき子さんとファニー・バイオレットさんが出会ったのは1988年。日本語とフランス語、お互いの言葉はどちらも話せなかったが、「刺繍」への情熱を通じて、2人はこれまで交流を続けてきた。

■響きあう感性で交流20年

「ステッチは口ほどにものを言う」-それから20年。東京とパリ(Paris)の2人による刺しゅうの「往復書簡」は前週、日本を今年のテーマとしているパリの国際サロンで公開された。

 フランス刺しゅうの展覧会のために初めて日本を訪れた時、まるで浮世絵から飛び出したような小倉さんの着物姿に、バイオレットさんは目を奪われた。2人はすぐにアーティストとして意気投合し、お互いが色彩に関して似た感性を持っていることを発見した。バイオレットさんは出会いを回想する。「わたしは自分の名前のバイオレットは花の名前なのだと説明した。彼女は日本語でバイオレットは『紫式部』の色だといい、秋に小さな紫色の真珠のような実をつける植物の名前だとも教えてくれた」。2人は住所を交換し、手紙を書くと約束した。

■刺しゅうが結ぶご縁

 フランス語はまったく分からなかった小倉さんは一念発起して日仏辞典を買い込んだが、書いたことが通じないのではないかと思い最初の手紙に、オーガンザの生地に鮮やかな色の花をアップリケした布片を1枚添えた。以来、2人の手紙のやりとりには必ずそれぞれの刺しゅう作品が入れられた。
 
 誕生日やクリスマスの祝いには、金色の糸で縁取りしたツリーのリボン刺しゅうを送るなど、さまざまな行事が作品になった。2003年にフランスの地下鉄が切符の色をターコイズブルーから紫に変えたときには、バイオレットさんは絹糸の刺しゅうに切符を縫いこんだウイットの利いた作品を送った。小倉さんは2006年、桜の咲く時期にあわせて桜の花の刺しゅうを送った。

 初孫の誕生など、家族のできごとも思い出の刺しゅうとなった。「わたしたちが出会ったときには、2人とも子どもはすでに成人していた。初孫も同じ時期にできた」とバイオレットさんは振り返る。

 時には封筒さえも作品となった。例えば、封筒を傘状にシルクの布で覆った時には、表書きの住所が目立たないほどだった。バイオレットさんは「唯一の制限といえば、郵便で配達してもらえるかどうかだけだった」と話す。

■交流が互いを育む

 文通を始めてから数年後には2人はそれぞれの世界を極めた作家として知られるようになり、刺しゅうを教えることも始めたが、楽しい異文化交流をずっと続けた。

 小倉さんは「ダイ・ステッチワーク」と呼ばれる手法を編み出し、多くの作品集やテキストブックを発表したが、パリのサロンで今回、着物の展覧会の企画を依頼され、バイオレットさんに協力をあおいだ。バイオレットさんは「わたしが着物について彼女に聞いた質問のおかげで、着物についてより深く考えるようになったと小倉さんは言ってくれた。わたしが彼女を着物研究家に育てたようなものだと」と喜んでいる。(c)AFP/Sarah Shard

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