【11月29日 MODE PRESS】今年も街のイルミネーションが彩り始め、年末の一大イベントクリスマスももう間近。家族や恋人、友人と過ごす特別なディナーやパーティには、ぜひ記憶に残るクリスマスケーキを用意したいもの。今年MODE PRESSでは、オピニオンリーダー4人による“今年食べたいクリスマスケーキ”を紹介する。素材や味、デザインなど、それぞれこだわりを持ってピックアップした逸品を、ぜひ今年のケーキ選びの参考にしてみてほしい。

 2人目に登場するのは、エキシビションや商業空間開発など様々な分野で、目的にあわせた空間をデザインするスペースコンポーザーの谷川じゅんじ(Junji Tanigawa)氏。谷川氏は今秋、地産地消を推奨する米オーガニックレストラン「シェ・パニース(Chez Panisse)」とともに、“みんなで食べるアートインスタレーション”「OPENharvest」を東京で企画、開催した。イベントを通じて“食”の深さを体感した谷川氏ならではの意見を語ってくれた。

■素材、生産者の顔がわかるケーキを

 「大切なときに大切な人と食べるケーキとなると、とても選びがいがありますね。率直に、もし食べられるのなら、「シェ・パニース」のパティシエ、ステイシー・ピアス(Stacie Pierce)が作るフルオーガニックなケーキが食べたいです。先日のイベントでは、来日したシェフたちと一緒に地方へ食材を探しに行き、稲を刈ったり鹿をさばいたりして料理をし、食事を共にしました。彼らは、どんな環境で誰が作ったのかわかる素材を使って、食の透明性という意味で非常に“オープン”です。“食”に向き合い、命をいただくことに感謝する。大きな地球の中の自分であることを改めて感じることで、毎日の行為にも奥行きが生まれます。

 有名ブランドのケーキや華やかなデザインのケーキは、とても都会的で今の世の中の流れに沿った選択。もちろん良いと思いますが、きちんと知らなければ手に入らない、素材や環境などどこまでもオーガニックにこだわったものが、本当の意味で最高にラグジュアリーだと思います。食の背景にあるストーリーを知るほどに、ただ食べるよりも一層おいしく感じられるものです。

■クリスマスという時間、空間をデザインする

 人とどんな風に過ごすかは、相手とどんな関係でありたいかを示すものでもあります。高級なものでつながる関係なのか、手間や愛情をかけたものを選ぶ関係なのか。私は、目に見える価値ではなく、その背景にある時間や物語に価値があると思います。手間をかけたものには、愛着がわく。かけた手間は、残る記憶と正比例するというのが私の考えです。

 そういう意味では、親しい仲間で集まり、こだわった素材から一緒に料理を作るのもいいですね。一緒にクリスマスという時間、空間をデザインしていく。時間や食事をシェアし、喜びをシェアする心の豊かさのあるクリスマスになります。ケーキは、そんな特別な時間の印であり、会話をはずませるアイテムですね」(c)MODE PRESS

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