【5月20日 MODE PRESS】大田明弥の平成カワイイ論から2ヶ月が経ち、今月から半年の間、隣の国「韓国」の若者たちについて探っていきます。私自身、韓国のモードファッションやカルチャーにとても興味があり、韓国語スクールに通っています。語学を学ぶにつれ韓国独特の若者文化が見えてくることがあります。

■オルチャンを探る

 以前私の連載のなかで、「変化するファッションの楽しみ方」でご紹介したオルチャン文化は今も実在している。

 オルチャンとはSNS上で有名になったいわゆるネットアイドルを示す言葉だが、その中でも有名なオルチャンはテレビに出演するなど、メディアからの注目度は高い。しかしテレビに映る姿と、オルチャン自身がSNSで発信する本人の姿とでは、大きなギャップがある場合が多いそうだ。

 そもそも「オルチャン」はオルグル(顔)とチャン(最高/一番)を略した造語であり、直訳で「最高の顔」という意味をもつ。チャンと付いていることから女性を指す言葉と受け取りがちだが、男女ともに美しい顔を示す。そこで彼らはPhotoshopを使い、瞳を大きく顎を細くとんがらせるなど自分で自分を理想のオルチャンに加工して発信しているのである。そしてそれも国民的に周知の事実なのだという。

■オルチャンの加工技術とは?

 今年の3月に日本に来たばかりの韓国人の友人によると、オルチャンの発祥は今から約15年前。その頃はPhotoshopで一切加工を加えていない美しい顔の人を「オルチャン」と称していたそうだ。

 現在、日本よりもネットやパソコンの普及率が高いと言われている韓国だが、独学でPhotoshopを使うのには限界があるだろう。私自身、大学で週に一度、半年間の講義を終えてやっと基礎知識を身につけた程度である。10代~20代前半のオルチャンたちは、基礎からさらにステップを重ね、最近では顔まわりだけに留まらず、脚まで長く加工しているようだからその技術の高さ?に目を疑う。

■進化していくオルチャン・・・

 前述の疑問はすぐに解決した。どうやら、Photoshopの塾があるというのだ。そこではもちろん、オルチャンになるための加工技術を取得することができるし、また最近では、特別な知識がなくても簡単に画像の加工ができる「Photo wonder」というスマホアプリが主流となってきている。実際に試してみるとタッチパネル上で簡単に頬の肉を修正し、目の大きさやウエスト周りを細く修正することができた。

 以上をふまえても、韓国の加工美への追求は日本よりも深く、その声は韓国第一位でいまや世界規模で支持されている電気メーカー「サムスン(SAMSUNG)」の製品にも反映されている。今回の取材に協力してくれた韓国人の友達のダンビちゃんが持っているサムスンのデジカメには、レンズの横に液晶のウィンドウがあり、自分のベストショットを確認しながらカメラのシャッターを切ることができる。

 これを日本では自分撮りと言うが韓国では「セルカ」と呼び、K -POPアイドルたちも自身のセルカをSNSで公開するたびエンタメニュースとなっている。

■日常的なセルカ

 このセルカというものは必ずしもオルチャンやK -POPアイドルなどの著名人のための言葉ではなく、ごくごく一般的に使われている。例えば一緒に食事をしているときにも、突然セルカを始め、そのセルカショットをSNSのアイコンにするという。

 韓国へ観光に行った際、あまりかっこ良くない人がセルカをしていても、どうか変に思わないでほしい(笑)。

 次回、ニュースでは放送されないリアルな韓国のカルチャーを探っていきます。【大田明弥】

■取材協力/ソル・ダンビ
<関連情報>
大田明弥の平成ガーリー論:第4回「変化するファッションの楽しみ方」