【11月7日 AFP】(一部更新)ヒールの高い靴が幅をきかせるファッション業界で、ここ数年かかとのごく低いタウン用バレエシューズが脚光を浴びている。『デスパレートな妻たち(Desperate Housewives)』のエヴァ・ロンゴリア(Eva Longoria)や、映画監督のソフィア・コッポラ(Sofia Coppola)、ケイト・モス(Kate Moss)などの著名人がこぞってレペット(Repetto)のバレエシューズをはいているのだ。 ■バレエシューズの誕生のきっかけは「ローラン・プティ」  バレエ用品メーカーのレペットは今年で創設60周年。創立のきっかけは、バレエ界のスターであったローラン・プティ(Roland Petit)のために、彼の母ローズ・レペット(Rose Repetto)が作った一足のシューズだった。  レペットがバレエシューズを開発して10年もたたないうちに、当時22歳のブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)が、映画『素直な悪女(And God Created Woman)』の中ではくバレエシューズに、かかとを付けて欲しいとレペットに依頼する。バルドーがはいた赤いバレエシューズはタウン用シューズとしてたちまち世界的な大ヒットとなった。  その後30年間、経営は上り坂に。だが1980年代にローズ・レペットが他界すると、プティは会社を売却。経営は一気に下降線をたどった。 ■凄腕経営者により赤字会社が急成長  1999年、レペットの最高経営者Jean-Marc Gaucher氏は赤字に苦しむ家族経営のレペット社を買収。わずか数年間でファッション業界で最も注目される会社に成長させた。Gaucher氏は「我が社の基盤はダンス。買収したとき、それだけは変えないと決めていた」と語る。  買収当初のシューズ制作数は1日100足ほどだったが、今では1日2000足、年間60万足の靴を制作している。毎月新しく店頭を飾るバレエシュースのバリエーションは、200種類にもおよぶ。パリ・オペラ座から目と鼻の先にある店頭には観光客が詰めかけ、バレリーナを夢見る女の子がトウシューズを試し、母親たちがチュチュを選ぶ姿がみられる。 ■日本のデザイナーとも提携  さらにGaucher氏は、国内でのレペット社のイメージを一新するため、イッセイ ミヤケ(Issey Miyake)やヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)などのデザイナーと積極的に提携。「われわれのような小さな会社にとっては、ビッグ・ネームと手を組み、日本や米国で最先端だということをアピールすることが一番だった」と話す。  この戦略が功を奏し、2005年には100万足の販売を達成。流行の店で限定版の靴の販売を始め、2006年には業界50%のシェアを勝ち取っている。(c)AFP/Claire Rosemberg